112AM002|第112回 看護師国家試験 過去問

令和元年(2019年)の国民生活基礎調査における女性の有訴者の自覚症状で最も多いのはどれか。

解答・解説を見る

正解: 2

正答

2.肩こり

この問題のポイント

国民生活基礎調査の「有訴者」について、性別ごとに最も多い自覚症状を問う保健統計の問題です。令和元年(2019年)の調査では、女性は肩こりが第1位で腰痛が続き、男性は腰痛が第1位で肩こりが続きます。男女で1位と2位が入れ替わることが判断の鍵です。有訴者の「自覚症状」と、通院者の「傷病」を混同しないことも大切です。

解説

国民生活基礎調査と有訴者

国民生活基礎調査は、厚生労働省が実施する基幹統計調査です。保健・医療・福祉・年金・所得など、国民生活の基礎的な事項を世帯単位で調べます。調査は毎年行われますが、3年ごとに大規模調査があり、健康票(有訴者、通院者、健診の受診状況など)や介護票はこの大規模調査の年に集計されます。令和元年は大規模調査の年にあたります。

有訴者とは、世帯員(入院者を除く)のうち、病気やけがなどで自覚症状のある人のことです。有訴者率は人口千人あたりで表します。令和元年の調査では全体で人口千人あたり約300でした。有訴者率には次のような傾向があります。

  • 女性のほうが男性より高い。
  • 年齢が上がるほど高くなる。
  • 症状別の有訴者率は複数回答で集計される。

令和元年の症状別の上位

  • 女性:肩こりが最も多く、次いで腰痛、手足の関節が痛む、の順です。体がだるい、頭痛などは、これらより低い水準にとどまります。
  • 男性:腰痛が最も多く、次いで肩こりです。

男女とも、肩こり・腰痛・関節痛といった筋骨格系の症状が上位を占めます。女性では肩こりと腰痛の差が小さいため、「女性は肩こり、男性は腰痛」と性別で分けて正確に覚えておきましょう。

女性に肩こりが多い背景として、次のような要因が考えられています。

  • 男性に比べて頸部や肩周囲の筋力が相対的に弱い。
  • 家事・育児・介護・デスクワークなどで、長時間同じ姿勢をとる。
  • 冷えや更年期の症状が影響する。

正答に至る考え方

問題文の手がかりは「有訴者」「自覚症状」「女性」の3語です。

  1. 「有訴者」とあるので、通院の原因となった傷病(高血圧症など)ではなく、自覚症状の順位を問われていると判断します。
  2. 自覚症状の上位は筋骨格系の症状が占めることを思い出します。
  3. 選択肢のうち筋骨格系の症状は肩こりだけです。
  4. 女性の第1位が肩こりであるという知識で確定できます。

通院者率との区別

通院者率(傷病で病院・診療所などに通っている人の割合)は、男女とも高血圧症が第1位です。「自覚症状の1位」と「通院の原因となる傷病の1位」は別の集計なので、分けて整理しておきます。高血圧症や糖尿病は自覚症状に乏しいまま通院している人が多い一方で、肩こりや腰痛は受診せずに症状を抱えている人が多いと考えると、両者の違いを理解しやすくなります。

実践とのつながり

肩こりや腰痛、関節痛は生命に直結しにくい症状ですが、日常生活動作や就労、睡眠、QOLに大きく影響します。高齢者では腰痛・関節痛が活動量の低下や転倒、ロコモティブシンドロームにつながることもあります。看護師は、地域や職域の健康教育で、姿勢や作業環境の調整、ストレッチや運動習慣について助言します。そのために、こうした訴えが女性や高齢者に多いという実態を知っておくことが役立ちます。

なお、統計は調査年によって順位が入れ替わることがあります。この問題は令和元年の調査に基づいて解答します。

選択肢の確認

1.頭痛:女性に比較的多い訴えで、女性の症状別有訴者率でも上位のほうに入ります。しかし令和元年の調査では、選択肢2や腰痛、手足の関節痛を大きく下回り、最多ではありません。「女性に多い症状」という印象から選びやすいので注意が必要です。

2.肩こり:正答。令和元年の調査で、女性の有訴者の自覚症状として最も多い症状です。女性では腰痛がこれに続きます。男性では腰痛に次ぐ第2位であり、男女で1位と2位が入れ替わることを押さえておきましょう。

3.体がだるい:全身倦怠感にあたる訴えで、女性の上位項目に含まれます。ただし、選択肢2、腰痛、手足の関節痛といった筋骨格系の症状よりも有訴者率は低い水準です。原因は貧血、甲状腺機能の異常、抑うつ、睡眠不足など多岐にわたります。

4.目のかすみ:老視や白内障など、加齢に伴う眼の変化によって訴えが増える症状で、高齢層では目立ちます。しかし女性全体でみると、筋骨格系の症状には及ばず、最多ではありません。眼の病気による通院は通院者の傷病として別に集計されるので、自覚症状の順位と混同しないようにします。

覚えるポイント

  • 有訴者は、世帯員(入院者を除く)のうち病気やけがなどで自覚症状のある人です。有訴者率は人口千人あたりで表し、女性が男性より高く、高齢になるほど高くなります。
  • 令和元年の国民生活基礎調査の自覚症状は、女性が肩こり第1位(次いで腰痛、手足の関節が痛む)、**男性が腰痛第1位(次いで肩こり)**です。
  • 自覚症状の上位は、男女とも肩こり・腰痛・関節痛などの筋骨格系の症状が占めます。
  • 通院者率の第1位は、男女とも高血圧症です。有訴者の「症状」と通院者の「傷病」を区別します。
  • 健康票(有訴者・通院者など)は、3年ごとの大規模調査の年に調べられます。

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