112AM003|第112回 看護師国家試験 過去問
喫煙指数(Brinkman〈ブリンクマン〉指数)を算出するために、喫煙年数のほかに必要なのはどれか。
解答・解説を見る
正解: 4
正答
4.1日の平均喫煙本数
この問題のポイント
喫煙による健康リスクを評価する代表的な指標、喫煙指数(Brinkman指数)の算出式を問う問題です。問題文の「喫煙年数のほかに」という条件から、年数と掛け合わせる「量」の要素を考えます。この指数は本人が吸ったたばこの累積量を表すものです。受動喫煙や喫煙を始めた時期は計算に入らない点が判断の鍵になります。
解説
喫煙指数の求め方
喫煙指数は次の式で求めます。
- 喫煙指数 = 1日の平均喫煙本数 × 喫煙年数
計算例は次のとおりです。
- 1日20本を30年間吸ってきた人は、20×30で600です。
- 1日10本を40年間吸ってきた人は、10×40で400です。
単位は付けず、数値だけで表します。式に「平均」とあるのは、時期によって本数が変わる人が多いためです。問診では「1日に何本くらいを、何年間吸っていたか」をたずねて計算します。現在は禁煙している人も、過去に喫煙していた期間を使って算出します。
何を表す指標か
喫煙による健康障害は、これまでに吸ったたばこの総量(累積曝露量)が多いほど起こりやすくなります。本数だけ、年数だけでは累積量を表せません。そこで両者を掛け合わせて1つの数値にしたのがこの指数です。
数値が大きいほど、肺癌・喉頭癌などの喫煙関連癌や慢性閉塞性肺疾患(COPD)のリスクが高いと判断します。一般に、400以上で肺癌のリスクが高まり、600以上は肺癌の高危険群とされます。
実際の制度でも基準として使われています。
- 肺がん検診:出題当時の国の指針(がん予防重点健康教育及びがん検診実施のための指針)では、胸部X線検査に加えて喀痰細胞診を行う対象を、原則として50歳以上で喫煙指数600以上の者(過去の喫煙者を含む)としていました。
- 禁煙治療の保険適用:出題当時の要件の一つとして、35歳以上の患者では喫煙指数200以上が求められていました。
関連する指標:パックイヤー
国際的には、**パックイヤー(pack-years)**もよく使われます。1日に吸う箱数(1箱=20本)に喫煙年数を掛けた値で、喫煙指数を20で割った値に相当します。1日20本を30年間なら30パックイヤーです。どちらも「量×年数」という考え方は同じです。
看護実践での活用
外来・入院時・術前の問診では、喫煙の有無だけでなく、本数と年数を確認して喫煙指数を記録します。喫煙は術後の肺合併症や創傷治癒遅延のリスクになるため、術前の禁煙指導にもつながる情報です。
禁煙支援では、次の3つの軸を分けて評価します。
- 喫煙の累積量:喫煙指数で評価します。
- ニコチン依存度:TDS(ニコチン依存度スクリーニングテスト)などで評価します。
- 禁煙への準備性:行動変容ステージで評価します。
受動喫煙の状況は、喫煙指数とは別の項目として把握します。特に小児や妊婦がいる家庭では重要です。
選択肢の確認
1.喫煙開始年齢:喫煙指数の式に直接入る要素ではないため、正答になりません。現在の年齢(禁煙者では禁煙した年齢)から開始年齢を引けば喫煙年数が出るので、年数を求める材料にはなります。ただ、問題文ではすでに喫煙年数が挙げられています。開始年齢そのものは、若く始めるほどニコチン依存が強くなりやすく、健康影響も大きいという意味で重要な情報です。このため二十歳未満の者の喫煙は法律で禁止されています。
2.受動喫煙年数:喫煙指数は本人が能動的に吸ったたばこの累積量を表す指標なので、受動喫煙の期間は計算に含めません。受動喫煙は非喫煙者の肺癌や虚血性心疾患、小児の喘息や乳幼児突然死症候群などのリスクを高めるため、別の項目として評価します。「喫煙年数」と言葉が似ているので、取り違えないよう注意が必要です。
3.家庭内の喫煙者数:家族の喫煙状況は、同居者、特に子どもや妊婦の受動喫煙環境を評価するための情報で、本人の喫煙指数の算出には使いません。小児看護・母性看護や家族への保健指導では重要なアセスメント項目です。受動喫煙対策では、健康増進法の改正(2020年4月全面施行)により「望まない受動喫煙」の防止が進められています。
4.1日の平均喫煙本数:正答。喫煙指数は1日の平均喫煙本数に喫煙年数を掛けて求めます。本数が喫煙の「量」、年数が「期間」を表し、両者の積で累積的な喫煙曝露量を示します。
覚えるポイント
- 喫煙指数(Brinkman指数)=1日の平均喫煙本数×喫煙年数です。既喫煙者も過去の喫煙期間で計算します。
- 一般に400以上で肺癌リスクが高まり、600以上は肺癌の高危険群とされます。肺がん検診の喀痰細胞診の対象は、原則50歳以上で喫煙指数600以上です(出題当時の指針)。
- パックイヤー=1日の箱数(1箱20本)×喫煙年数で、喫煙指数÷20に相当します。
- 喫煙者の評価は、累積量(喫煙指数)、依存度(TDSなど)、禁煙への準備性(行動変容ステージ)を分けて行います。
- 受動喫煙の年数や家族の喫煙者数は、喫煙指数とは別に、受動喫煙のアセスメントとして把握します。
掲載内容は受験学習用に編集しています。正式な正答・採点上の取扱いは、各試験実施機関の発表を優先してください。 情報の確認方法と訂正窓口は編集方針に掲載しています。 本サービスは診断・治療・臨床判断を目的とするものではありません。
問題文・正答・解説に誤りを見つけたら、この問題の誤りを報告する([email protected])までお知らせください。確認して修正します。