111AM033|第111回 看護師国家試験 過去問

労働衛生の「3管理」とは、作業環境管理と作業管理と( )である。( )に入るのはどれか。

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正解: 1

正答

1.健康管理

この問題のポイント

労働衛生対策の基本となる「3管理」の構成を問う問題です。作業環境管理は職場環境への対策、作業管理は作業のやり方への対策です。残る1つは労働者本人に働きかける管理だと考えると、答えが導けます。3管理に総括管理と労働衛生教育を加えた「5管理」と区別できるかも問われています。

解説

3管理は「環境」「作業」「人」への対策

労働衛生の目的は、職場の有害要因による健康障害を防ぎ、働く人の健康を保持・増進することです。有害要因には、化学物質、粉じん、騒音、放射線、暑熱、過重な作業負荷、心理的ストレスなどがあります。有害要因が健康障害を起こすまでの流れは、次のように整理できます。

「有害要因が発生する → 労働者がそれにさらされる(ばく露)→ 体に影響が出る」

3管理は、この流れの各段階に対応しています。

  • 作業環境管理:作業場の有害要因を発生源で取り除く、または減らす対策です。
    • 作業環境測定を行い、その結果を第1〜第3管理区分で評価します。
    • 局所排気装置や全体換気の設置、有害物質の代替、設備の密閉化・自動化、照明・温湿度の調整などを行います。
  • 作業管理:作業の方法・時間・姿勢などを適正にして、ばく露や身体への負担を減らす対策です。
    • 作業時間の制限と休憩、作業手順の標準化、作業姿勢の改善を行います。
    • 防じんマスク・耳栓・手袋などの保護具を適切に使用します。
  • 健康管理:労働者の健康状態を把握し、異常を早期に見つけて適切な措置につなげる対策です。
    • 一般健康診断(雇入れ時・定期・特定業務従事者)と特殊健康診断を行います。
    • 健診後の事後措置(医師の意見聴取、就業場所の変更や労働時間の短縮など)、保健指導、長時間労働者への医師による面接指導を行います。
    • ストレスチェックや健康保持増進措置もここに含まれます。
    • ストレスチェックは、出題当時、常時50人以上の事業場で年1回の実施が義務で、50人未満では努力義務でした。現在は、その後の法改正により50人未満の事業場にも義務が広げられることになっています。

3管理の関係は次のとおりです。

  • 最も根本的な対策は、発生源で有害要因を減らす作業環境管理です。
  • それでも残るばく露を、作業管理で減らします。
  • さらに、健康への影響を健康管理で早期にとらえます。

健康管理だけでは、健康障害の原因そのものは取り除けません。3つを組み合わせることが重要です。

5管理との関係

3管理を確実に機能させる土台として、総括管理と労働衛生教育があります。3管理にこの2つを加えたものを「5管理」と呼びます。

  • 総括管理:労働衛生管理体制を整え、計画の策定・実施・評価を統括することです。
    • 常時50人以上の労働者を使用する事業場では、衛生管理者と産業医の選任、衛生委員会の設置が義務です。
    • 衛生委員会は毎月1回以上開催します。
  • 労働衛生教育:雇入れ時や作業内容の変更時の教育、危険有害業務に就かせる際の特別教育などです。

看護の実践との結びつき

看護職自身も労働者であり、3管理の対象です。抗がん薬の調製を例にすると、次のように分類できます。

  • 安全キャビネットや閉鎖式薬物移送システムを使う → 作業環境管理
  • 手袋・ガウンなどの個人防護具を着け、手順を守る → 作業管理
  • 健康診断などで健康状態を確認する → 健康管理

また、夜勤は深夜業を含む業務にあたります。そのため夜勤のある看護職は特定業務従事者の健康診断の対象で、配置替えの際と6か月以内ごとに1回の受診が必要です。国家試験では「この対策はどの管理に当たるか」を問う形も多く出題されます。キーワードで分類すると整理しやすくなります。

  • 「測定・設備・換気」→ 作業環境管理
  • 「時間・姿勢・手順・保護具」→ 作業管理
  • 「健診・面接・保健指導」→ 健康管理

選択肢の確認

1.健康管理:正答。健康診断とその事後措置、保健指導、医師による面接指導、ストレスチェックなどで労働者一人ひとりの健康状態を把握し、健康障害の早期発見と就業上の配慮につなげる管理です。作業環境管理・作業管理と並ぶ3管理の1つです。環境や作業への対策に対して、「人」の側に働きかける対策と位置づけられます。

2.総括管理:労働衛生管理体制を整え(衛生管理者・産業医の選任、衛生委員会の運営など)、3つの管理と教育を計画的に進めて評価する全体の統括を指します。労働衛生教育とともに3管理に加えて「5管理」とする場合の要素で、3管理そのものには含まれません。5管理と3管理を取り違えると選んでしまいやすい選択肢です。

3.労務管理:採用・配置・賃金・労働時間・労使関係などを扱う人事管理の領域であり、労働衛生の3管理の構成要素ではありません。労働時間の長さは健康に影響するため労働衛生と接点はありますが、職場の有害要因から健康を守るための管理の枠組みとは別のものです。

4.出退勤管理:従業員の出勤・退勤の時刻を記録して勤務時間を把握する事務的な管理です。選択肢3の管理に含まれる一部にあたり、3管理の構成要素ではありません。なお、2019年4月施行の労働安全衛生法改正で、事業者には労働時間の状況の把握が義務付けられました。長時間労働者への医師の面接指導を適切に行うためです。把握した情報は選択肢1の管理に活用されますが、時間の記録それ自体が3管理の1つになるわけではありません。

覚えるポイント

  • 労働衛生の3管理は「作業環境管理・作業管理・健康管理」です。これに総括管理と労働衛生教育を加えると5管理になります。
  • 作業環境管理は発生源対策です。作業環境測定(第1〜第3管理区分で評価)、局所排気装置、換気、有害物質の代替・密閉化が該当します。
  • 作業管理はばく露と負担の低減です。作業時間・休憩、作業方法・姿勢の改善、保護具の使用が該当します。保護具は作業環境管理ではなく作業管理に分類される点が頻出です。
  • 健康管理は一般・特殊健康診断、事後措置、保健指導、面接指導、ストレスチェックです。健康診断は、結果に基づく就業上の措置まで含めて健康管理です。
  • 常時50人以上の事業場では、衛生管理者・産業医の選任と衛生委員会の設置(毎月1回以上開催)が義務です。これらは総括管理を支える体制です。
  • 深夜業を含む業務(夜勤など)は特定業務従事者健診の対象で、配置替えの際と6か月以内ごとに1回実施します。

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