111PM074|第111回 看護師国家試験 過去問

看護におけるクリニカルラダーについて正しいのはどれか。

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正解: 3

正答

3.臨床実践に必要な能力が段階的に表現されている。

この問題のポイント

看護職の継続教育で使われる「クリニカルラダー」の定義と性格を問う問題です。ラダー(ladder)は「はしご」の意味で、看護実践能力を段階(レベル)ごとに示す道具だと理解していれば正答できます。あわせて、法的義務があるか、全国共通か施設ごとか、目的が能力開発なのかワーク・ライフ・バランスなのかを区別できるかが問われています。

解説

クリニカルラダーとは

クリニカルラダーは、看護師の臨床実践能力を、初歩の段階から熟達した段階まで、はしごの段のように段階的に示した能力開発・評価のしくみです。各段階で到達すべき目標や行動が具体的に書かれています。

  • 看護師にとっては、自分が今どの段にいて、次に何を身につければよいかを確認できます。
  • 組織(看護部)にとっては、段階に応じた研修やOJT、役割の付与を計画し、支援する目安になります。

考え方の土台として知られているのが、ベナーの「初心者から達人へ」です。これは技能習得のドレイファスモデルを看護に当てはめたもので、看護師の熟達を「初心者・新人・一人前・中堅・達人」の5段階で説明しています。

日本看護協会版のクリニカルラダー

日本看護協会は2016年に「看護師のクリニカルラダー(日本看護協会版)」を公表しました。

  • 看護の核となる実践能力を、ニーズをとらえる力、ケアする力、協働する力、意思決定を支える力の4つに整理しています。
  • それぞれをレベルⅠ〜Ⅴの5段階で示しています。
  • レベルⅠは「基本的な看護手順に従い、必要に応じ助言を得て看護を実践する」段階です。
  • レベルⅤは「より複雑な状況において、ケアの受け手にとっての最適な手段を選択しQOLを高めるための看護を実践する」段階です。

このラダーは、病院だけでなく訪問看護ステーションや介護施設など、看護職が働くさまざまな場で使える標準的な指標として作られました。ただし使うかどうかは任意です。各施設はこれをそのまま使うか、自施設の理念、機能、患者層に合わせて独自のラダーを作って運用しています。つまり、法的な義務ではなく、全国で1つに統一されたものでもありません。

「義務」と混同しやすい制度

法令上の定めがあるのは新人看護職員研修です。2010年施行の保健師助産師看護師法と看護師等の人材確保の促進に関する法律の改正で、次の2点が定められました。

  • 新人看護職員は臨床研修などを受けて資質の向上に努めること。
  • 病院等の開設者は研修の実施などの体制整備に努めること。

これも「努力義務」であり、クリニカルラダーの導入を義務付けたものではありません。

ワーク・ライフ・バランスとの違い

ワーク・ライフ・バランスは「仕事と生活の調和」を図る取り組みです。多様な勤務形態、夜勤負担の軽減、休暇の取得、育児や介護との両立支援などを扱います。一方、クリニカルラダーの主な目的は、臨床実践能力の向上と看護の質の保証です。キャリアの見通しが立つことで就業継続を支える面はありますが、ワーク・ライフ・バランスそのものを目指す制度ではありません。

実践での活用

病院では、年度ごとの到達目標の設定、院内研修の設計、面接での自己評価と上司評価のすり合わせに使われます。プリセプターやリーダーなどの役割を任せる目安にもなります。

助産師については「助産実践能力習熟段階(クリニカルラダー)」(CLoCMiP)があります。そのレベルⅢの認証を受けた助産師は「アドバンス助産師」と呼ばれます。

選択肢の確認

1.病院に導入が義務付けられている。:クリニカルラダーの導入を病院に義務付けた法令はなく、導入するかどうかは各施設の判断に任されています。法令で努力義務が定められているのは新人看護職員研修(2010年施行の法改正)です。この2つを取り違えないようにしましょう。

2.ワーク・ライフ・バランスを目指すものである。:ワーク・ライフ・バランスは勤務形態や休暇、両立支援など仕事と生活の調和を図る取り組みで、ラダーの目的とは別の枠組みです。クリニカルラダーの目的は、臨床実践能力を段階的に高め、看護の質を保証することです。キャリア形成を通じて定着に役立つ面はありますが、それは副次的な効果にとどまります。

3.臨床実践に必要な能力が段階的に表現されている。:正答。ラダー(はしご)という名前のとおり、臨床実践能力を初歩から熟達までの段階で示し、各段階の到達目標や行動を明示したものです。日本看護協会版では、4つの力をレベルⅠ〜Ⅴの5段階で示しています。

4.全国の病院で共通のクリニカルラダーが使用されている。:日本看護協会版は標準的な指標として公表されていますが、使用は任意です。各施設はそれを参考に、自施設の機能や患者層に合わせた独自のラダーを作って運用しています。「標準指標がある」ことと「全国共通のものが使われている」ことは別の話です。

覚えるポイント

  • クリニカルラダーは、臨床実践能力を段階(レベル)ごとに示した能力開発・評価のしくみです。「ラダー=はしご=段階」と覚えます。
  • 日本看護協会版(2016年公表)は、ニーズをとらえる力・ケアする力・協働する力・意思決定を支える力の4つを、レベルⅠ〜Ⅴの5段階で示しています。
  • ラダーの導入は法的義務ではなく、施設ごとに独自のものを作って運用するため、全国共通ではありません。
  • 法令上の努力義務は新人看護職員研修です。受講は看護職、実施体制の整備は病院等の開設者の努力義務で、2010年施行の法改正によります。
  • 理論的背景はベナーの5段階(初心者→新人→一人前→中堅→達人)です。助産師のラダーはCLoCMiPで、レベルⅢの認証を受けるとアドバンス助産師になります。

掲載内容は受験学習用に編集しています。正式な正答・採点上の取扱いは、各試験実施機関の発表を優先してください。 情報の確認方法と訂正窓口は編集方針に掲載しています。 本サービスは診断・治療・臨床判断を目的とするものではありません。

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