111PM077|第111回 看護師国家試験 過去問

肩峰があるのはどれか。

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正解: 3

正答

3.肩甲棘

この問題のポイント

肩峰がどの骨のどの部位に属するかを問う、骨格の基本問題です。肩峰は、肩甲骨の背面を斜めに横切る肩甲棘が外側へ伸び、前外方へ張り出した先端部です。肩の骨格(肩甲骨・鎖骨・上腕骨)の位置関係と、肩甲骨の各部位(肩甲棘・肩峰・烏口突起・関節窩)を区別できるかが鍵になります。

解説

肩甲骨の各部位

肩甲骨は背部の上外側にある逆三角形の扁平な骨で、鎖骨とともに上肢帯をつくります。国家試験で問われる主な部位は次のとおりです。

  • 肩甲棘:肩甲骨の背面を、内側縁から外側上方へ斜めに走る板状の隆起です。背面を上の棘上窩と下の棘下窩に分けます。
  • 肩峰:肩甲棘の外側端が扁平に広がり、前外方へ張り出した部分です。肩先で皮下に容易に触れる骨の高まりです。
  • 烏口突起:肩甲骨上縁の外側から前方へ、鉤状(曲げた指のような形)に突き出す突起です。
  • 関節窩:外側角にある浅いくぼみで、上腕骨頭と肩関節(肩甲上腕関節)をつくります。

肩峰は、背面の肩甲棘をたどって外側へ進んだ先にあります。前方に出る烏口突起とは起始する場所が異なります。したがって、選択肢の中で肩峰をもつ構造は肩甲棘です。

肩峰の構造上の役割

  • 肩峰は鎖骨の外側端(肩峰端)と肩鎖関節をつくります。鎖骨の内側端は胸骨柄と胸鎖関節をつくるため、肩の骨格は「胸骨柄-鎖骨-肩峰(肩甲骨)」の順につながります。
  • 三角筋は鎖骨外側部・肩峰・肩甲棘から起こり、僧帽筋は同じく鎖骨外側部・肩峰・肩甲棘に停止します。
  • 肩峰と烏口突起を結ぶ烏口肩峰靱帯は、肩峰とともに烏口肩峰アーチをつくります。このアーチは上腕骨頭の上に屋根のようにかぶさります。アーチの下を棘上筋腱や肩峰下滑液包が通るため、腕を挙上するときに腱板が挟まれると肩の痛みの原因になります。

看護の場面で肩峰を使う例

  • 三角筋への筋肉内注射:肩峰を触知し、そこから約3横指下の三角筋中央部を目安にします。部位が下方や後方にずれると、腋窩神経や橈骨神経を損傷するおそれがあります。そのため、肩峰の位置を正確に確認することが安全な注射の第一歩です。
  • 褥瘡の好発部位:側臥位では、耳介・肩峰・大転子・膝関節外側・外果など、骨が突出した部位に圧が集中します。
  • 身体計測:上肢長や上腕長は肩峰を起点に測ります。上肢長は肩峰外側端から橈骨茎状突起(または中指先端)まで、上腕長は肩峰外側端から上腕骨外側上顆までです。
  • 肩関節脱臼の観察:肩関節は関節窩が浅いため脱臼しやすい関節です。脱臼すると骨頭が関節窩から外れ、肩峰が突出して肩の丸みが失われる外観になります。

肩峰は「触れて位置を決める目印」として臨床で頻繁に使われます。骨の名前を覚えるだけでなく、自分の肩で肩甲棘から肩峰までをたどり、位置を確かめておくと知識が定着します。

選択肢の確認

1.鎖骨:S字状に弯曲した長骨で、内側端は胸骨と胸鎖関節をつくり、外側端は肩峰と肩鎖関節をつくります。肩峰とは関節で接していますが、肩峰そのものはこの骨の一部ではありません。外側端が肩峰とつながるため取り違えやすい選択肢です。この骨は上肢を体幹の骨格につなぐ唯一の骨性の連結です。皮下で触れやすく、転倒して手をついたときや、分娩時の新生児に骨折が起こりやすい骨でもあります。

2.胸骨柄:胸骨の最上部にあたる部分で、上縁の両外側で選択肢1の骨と胸鎖関節をつくり、側縁には第1肋軟骨が連結します。下方の胸骨体との結合部は前方へわずかに突出した胸骨角で、第2肋骨が付く高さの目安になります。前胸部の正中にあり、肩先にある肩峰とは位置が大きく離れています。

3.肩甲棘:正答。肩甲骨の背面を斜めに横切る隆起で、その外側端が前外方へ張り出した部分が肩峰です。背面を棘上窩と棘下窩に分け、三角筋の起始と僧帽筋の停止の一部にもなっています。

4.上腕骨:近位端には骨頭・解剖頸・大結節・小結節・結節間溝・外科頸があり、肩峰はこの骨には存在しません。骨頭は肩峰の下方で関節窩と肩関節をつくり、肩峰はその上に屋根のように位置する肩甲骨の一部です。外科頸は高齢者が転倒したときに骨折しやすい部位で、近位端骨折は高齢者に多い骨折の一つとして問われます。

5.烏口突起:肩甲骨上縁の外側から前方へ鉤状に突き出す突起で、肩甲骨の背面から出る肩峰とは別の部位です。小胸筋が停止し、上腕二頭筋短頭と烏口腕筋が起始します。どちらも肩甲骨の突起で、烏口肩峰靱帯によって肩峰と結ばれているため混同しやすいですが、「前方に出るのが烏口突起、背面から外側へ伸びるのが肩峰」と区別します。

覚えるポイント

  • 肩峰は肩甲棘の外側端です。肩甲骨の主な部位は、背面の肩甲棘とその先の肩峰、前方の烏口突起、外側角の関節窩の組み合わせで整理します。
  • 肩の骨のつながりは「胸骨柄-(胸鎖関節)-鎖骨-(肩鎖関節)-肩峰」です。上肢帯は肩甲骨と鎖骨からなります。
  • 三角筋への筋肉内注射は、肩峰を触知して約3横指下の三角筋中央部に行います。部位が下方や後方にずれると、腋窩神経や橈骨神経を損傷する危険があります。
  • 側臥位の褥瘡好発部位は、耳介・肩峰・大転子・膝関節外側・外果です。
  • 烏口突起に付く筋は、小胸筋(停止)、上腕二頭筋短頭と烏口腕筋(起始)です。
  • 胸骨角は第2肋骨の高さの目安です。上腕骨の外科頸は高齢者の骨折好発部位です。

掲載内容は受験学習用に編集しています。正式な正答・採点上の取扱いは、各試験実施機関の発表を優先してください。 情報の確認方法と訂正窓口は編集方針に掲載しています。 本サービスは診断・治療・臨床判断を目的とするものではありません。

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