112PM056|第112回 看護師国家試験 過去問

乳歯について正しいのはどれか。

解答・解説を見る

正解: 3

正答

3.胎児期に石灰化が始まる。

この問題のポイント

乳歯の発生、石灰化、萌出、本数、性質を問う問題です。手がかりは2つあります。1つは、歯の形成が生まれる前から始まっているという発生の流れです。もう1つは、「生え始め」と「生えそろい」の時期の区別です。乳歯の質(石灰化度が低く齲蝕になりやすい)と本数(乳歯20本、永久歯28〜32本)も合わせて整理すると、類題にも対応できます。

解説

歯ができるまでの流れ

歯は、歯胚の形成、石灰化(硬い組織の形成)、歯根の形成と萌出、の順に発達します。乳歯の歯胚は胎生7週ごろから作られ始めます。そして胎生4〜6か月ごろに、乳中切歯から順に石灰化が始まります。

出生時には、乳歯はすでに顎の骨の中で歯冠の形成が進んでいます。ただし進み具合は歯によって異なります。乳切歯は歯冠の半分以上ができていますが、乳犬歯や乳臼歯はまだ一部しかできていません。歯冠が完成するのは出生後で、乳中切歯で生後1か月半〜2か月半ごろ、第二乳臼歯で生後10〜11か月ごろです。つまり乳歯は、胎児期に石灰化が始まり、乳児期にかけて歯冠ができあがっていきます。永久歯では第一大臼歯の石灰化が最も早く、出生前後に始まります。

歯の形成は胎内で始まるため、妊娠中の母体の栄養状態や使用する薬剤が、子どもの歯に影響することがあります。代表例はテトラサイクリン系抗菌薬です。妊娠中や8歳未満の小児(歯の形成期)に投与すると、歯の着色やエナメル質形成不全を起こすおそれがあるため、使用は慎重に判断されます。妊婦にたんぱく質、カルシウム、ビタミンなどをバランスよくとるよう指導することは、子どもの歯づくりの点からも意味があります。

萌出の時期と順序

乳歯は生後6〜8か月ごろ、下顎の乳中切歯から生え始めます。その後、上顎乳中切歯、乳側切歯、第一乳臼歯、乳犬歯、第二乳臼歯の順に生え、2歳6か月〜3歳ごろに上下各10本、計20本がそろいます。生える時期には個人差が大きく、数か月程度前後することは珍しくありません。

6歳ごろには、第二乳臼歯の奥に第一大臼歯(6歳臼歯)が生えます。同じころ、乳歯から永久歯への生え替わりが下顎の中切歯から始まります。12〜13歳ごろに第二大臼歯が生え、智歯(第三大臼歯)を除く永久歯列がほぼ完成します。

6歳臼歯は、乳歯と交換せずに奥へ新しく生える歯です。そのため生えたことに気付かれにくく、乳歯と思われて手入れが不十分になりがちです。生える途中は歯肉に一部覆われて歯ブラシが届きにくく、かむ面の溝も深いため、齲蝕になりやすくなります。この点は学童期の保健指導の重要なポイントです。

乳歯の性質

乳歯は永久歯に比べて、エナメル質と象牙質が薄く、石灰化度が低く、歯髄腔が大きいという特徴があります。このため酸に溶けやすく、齲蝕になりやすいうえに進行も速く、短い期間で歯髄に達しやすくなります。

乳歯の齲蝕は、かむことや発音に影響するだけではありません。齲蝕が進んで歯の根の先に炎症(根尖性歯周炎)が起こると、その真下で作られている永久歯にエナメル質形成不全(ターナー歯)を起こすことがあります。乳歯の外傷が同じような障害の原因になることもあります。また、齲蝕などで乳歯を早く失うと、隣の歯が移動して永久歯が生えるすき間が足りなくなり、歯並びが乱れやすくなります。乳歯の齲蝕予防の指導では、次の3つが柱になります。

  • 保護者による仕上げみがき
  • 甘い飲食物の回数と時間の管理(だらだら食べや、哺乳瓶で甘い飲料を常に飲ませることを避ける)
  • フッ化物の利用

選択肢の確認

1.永久歯より石灰化度が高い。:乳歯はエナメル質と象牙質が薄く、石灰化度は永久歯より低いので、記述は逆です。石灰化度が低いことは、乳歯が齲蝕になりやすく進行も速い理由のひとつです。これが「乳歯は弱いので、生え始めから早めにケアする必要がある」という指導の根拠になります。乳歯の特徴は「薄い・石灰化度が低い・歯髄腔が大きい」とまとめて覚えると、取り違えを防げます。

2.生後8か月に生えそろう。:生後6〜8か月ごろは乳歯が生え始める時期で、20本が生えそろうのは2歳6か月〜3歳ごろです。「生え始め」と「生えそろい」を取り違えさせる選択肢です。「生後8か月ごろに生え始める」という記述なら、目安として正しい内容になります。

3.胎児期に石灰化が始まる。:正答。乳歯の歯胚は胎生7週ごろから作られ、胎生4〜6か月ごろに石灰化が始まります。歯の形成は胎内で始まるため、妊娠中の母体の栄養や薬剤(テトラサイクリン系抗菌薬など)が子どもの歯に影響することがあります。なお、出生時は顎の骨の中で歯冠の形成が進んでいる段階で、歯冠が完成するのは出生後の乳児期です。「石灰化の開始」と「歯冠の完成」の時期を区別しておきましょう。

4.本数は永久歯と同じである。:乳歯は上下各10本の計20本、永久歯は智歯を除くと28本、含めると32本で、本数は異なります。乳歯は乳切歯、乳犬歯、乳臼歯だけでできており、小臼歯にあたる歯はありません。永久歯では乳臼歯の位置に小臼歯が生え、その奥に大臼歯が加わるため本数が増えます。

覚えるポイント

  • 乳歯の形成:歯胚は胎生7週ごろから作られ、石灰化は胎生4〜6か月ごろ(胎児期)に始まります。歯冠が完成するのは出生後で、乳中切歯で生後1か月半〜2か月半、第二乳臼歯で生後10〜11か月ごろです。
  • 乳歯の萌出:生後6〜8か月ごろに下顎乳中切歯から生え始め、2歳6か月〜3歳ごろに20本がそろいます。
  • 本数:乳歯は20本、永久歯は28本(智歯を含めて32本)です。乳歯に小臼歯はありません。
  • 生え替わり:6歳ごろに第一大臼歯(6歳臼歯)が生え、下顎中切歯から交換が始まります。12〜13歳ごろに第二大臼歯が生えます。永久歯の石灰化は第一大臼歯が最も早く、出生前後に始まります。
  • 乳歯の性質:エナメル質と象牙質が薄く、石灰化度が低く、歯髄腔が大きいため、齲蝕になりやすく進行も速くなります。
  • 歯の形成は胎児期に始まるため、妊娠中の栄養や薬剤が子どもの歯に影響します。テトラサイクリン系抗菌薬は、妊娠中や8歳未満の小児への投与で歯の着色やエナメル質形成不全を起こすおそれがあります。

掲載内容は受験学習用に編集しています。正式な正答・採点上の取扱いは、各試験実施機関の発表を優先してください。 情報の確認方法と訂正窓口は編集方針に掲載しています。 本サービスは診断・治療・臨床判断を目的とするものではありません。

問題文・正答・解説に誤りを見つけたら、この問題の誤りを報告する([email protected])までお知らせください。確認して修正します。

← 112PM055112PM057 →
学習アプリでこの問題を解く(記録・メモ・カード化)