45AM12|第45回 第2種ME技術実力検定試験 過去問
帯電していない中空の導体球が真空中に置かれている(球内部も真空)。図のように、球の外側に正の点電荷を置いた。正しいのはどれか。 ただし、無限遠での電位を 0 V とする。

解答・解説を見る
正解: 4
正答
4
この問題のポイント
この問題では、外部に点電荷を置いたときの 中空導体 の性質を理解しているかが問われています。
重要なのは、静電平衡状態の導体では、
- 導体内部の電界は 0
- 導体全体は等電位
- 空洞内に電荷がなければ、中空空間の電界も 0
- 電気力線は導体表面に垂直に出入りする
という点です。
解説
図では、左に 中空の導体球、右に 正の点電荷 が置かれています。
外側に正の点電荷を置くと、導体中の自由電子が移動します。点電荷に近い外側表面には負電荷が誘導され、反対側の外側表面には正電荷が現れます。
ただし、導体球は閉じた中空導体であり、空洞内には電荷がありません。この場合、静電平衡では中空空間の電界は 0 になります。
これは 静電遮蔽、またはファラデーケージの基本です。外部の電荷や電界の影響は、導体表面の電荷分布によって打ち消され、閉じた導体内部の空洞には電界が入り込みません。
したがって、導体球の中空空間の電界の強さは 0 V / m です。
図で見るポイント
図の灰色の輪が中空導体、右側の黒点が正の点電荷です。正の点電荷は導体の外側にあるため、誘導電荷は主に導体の外側表面に現れます。空洞内には電荷がないので、中空空間の電界は 0 になります。
選択肢の確認
1.導体球の電位は 0 V である。
誤り。
無限遠での電位を 0 V としても、帯電していない導体球の電位が必ず 0 V になるわけではありません。外部の正の点電荷の影響を受けて導体は等電位になりますが、その電位の値は一般に 0 V とは限りません。接地されていれば 0 V と考えられますが、この問題では接地されていません。
2.導体球の内側表面に正電荷が現れる。
誤り。
空洞内に電荷がない閉じた導体では、内側表面には電荷は現れません。外部の点電荷によって誘導電荷が現れるのは外側表面です。内側表面に電荷が現れるのは、空洞内に電荷がある場合を考えると理解しやすいです。
3.導体球の表面に電荷が現れる現象を分極という。
誤り。
導体表面に電荷が現れる現象は、導体内の自由電子の移動による 静電誘導 として扱います。分極は主に誘電体で、分子や原子内の正負電荷の偏りを表すときに用いる用語です。導体と誘電体の用語を混同しないことが大切です。
4.導体球の中空空間の電界の強さは 0 V / m である。
正しい。
閉じた導体の空洞内に電荷がない場合、静電平衡では中空空間の電界は 0 になります。外部の点電荷による影響は導体表面の誘導電荷によって打ち消され、空洞内部には電界が生じません。
5.導体球の外側には球表面と平行な電気力線が生じる。
誤り。
静電平衡状態の導体表面では、電界は導体表面に垂直です。もし表面に平行な電界成分があると、導体表面の自由電荷が移動してしまい、静電平衡ではなくなります。したがって、電気力線は導体表面と平行ではなく、表面に垂直に出入りします。
覚えるポイント
- 静電平衡の導体内部では 電界は 0。
- 閉じた中空導体で、空洞内に電荷がなければ 中空空間の電界も 0。
- 外部電荷による影響を導体が遮る現象を 静電遮蔽 という。
- 導体表面に電荷が現れる現象は 静電誘導。
- 導体表面の電気力線は 表面に垂直。
- 「無限遠を 0 V」としても、接地されていない導体の電位が必ず 0 V になるわけではない。
