17AM36|第17回 はり師・きゅう師国家試験 過去問
体温のセットポイントが急上昇している時に起こらないのはどれか。
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正解: 1
正答
1
この問題のポイント
発熱の初期(悪寒期)に何が起こるかを問う問題です。体温を上げようとしている段階であることを理解します。
解説
発熱は、視床下部の体温調節中枢のセットポイント(体温の目標値)が上昇することで起こります。感染などにより産生された**内因性発熱物質(インターロイキン1、インターロイキン6、TNFなど)**が、プロスタグランジンE2の産生を介してセットポイントを上げます。
セットポイントが急上昇した直後は、**実際の体温がまだ低い(セットポイントに達していない)状態です。体はこれを「寒い」と判断し、体温を上げるための反応を総動員します。この時期を悪寒期(体温上昇期)**といいます。
この時期に起こる反応は次のとおりです。
熱産生を増やすため、**ふるえ(シバリング)**が起こります。骨格筋の不随意な収縮により熱を産生する仕組みです。あわせて代謝も亢進します。
熱放散を減らすため、皮膚血管が収縮します。皮膚への血流が減ることで、体表からの熱の放散が抑えられます。その結果、皮膚は蒼白で冷たくなります。また立毛筋が収縮して鳥肌が立ち、体表の空気層を保って断熱します。
そして、実際の体温が低いわけではないのに**寒け(悪寒)**を強く感じ、患者は毛布を求めます。
したがって、この時期に起こらないのは皮膚血管拡張であり、正答は1です。皮膚血管が拡張して発汗が起こるのは、**解熱期(セットポイントが下がり、実際の体温がそれを上回っている時期)**です。この時期には熱放散を促すため、皮膚が紅潮し、大量の発汗がみられます。
発熱の経過は、**体温上昇期(悪寒、ふるえ、皮膚蒼白)→極期(高熱が持続、悪寒は消失)→解熱期(皮膚紅潮、発汗)**と整理できます。
施術の場では、悪寒とふるえを伴う発熱は感染症の急性期を示唆するため、施術を控えて医療機関の受診を勧める判断が求められます。
選択肢の確認
1.皮膚血管拡張
起こらず、これが正答。皮膚血管は収縮します。拡張は解熱期の反応です。
2.ふるえ
起こる。骨格筋の不随意な収縮により熱を産生します。
3.悪寒
起こる。実際の体温がセットポイントに達していないため寒けを感じます。
4.立毛筋収縮
起こる。鳥肌が立ち、体表の断熱に働きます。
覚えるポイント
- 発熱=視床下部のセットポイントが上昇。内因性発熱物質とプロスタグランジンE2による。
- 体温上昇期(悪寒期)=ふるえ、皮膚血管収縮、立毛、悪寒。解熱期=皮膚血管拡張と発汗。
- 悪寒とふるえを伴う発熱は急性感染症を疑い、受診を勧める。