17AM4|第17回 はり師・きゅう師国家試験 過去問
喫煙群と非喫煙群とを10年間観察し、肺がんの発生率を比較した研究はどれか。
解答・解説を見る
正解: 2
正答
2
この問題のポイント
疫学の研究デザインを判別する問題です。要因で群を分けて、その後を追いかけたかが決め手です。
解説
設問は「喫煙群と非喫煙群とを10年間観察し、肺がんの発生率を比較した」というものです。特徴を整理します。
第一に、要因(喫煙の有無)によって最初に群を分けていること。第二に、その後10年間を追跡していること。第三に、追跡の結果として疾病の発生率(罹患率)を比較していること。第四に、**研究者が要因を割り付けたのではなく、対象者がもともともっている要因で分けている(観察している)**ことです。
これは**コホート研究(前向き研究、要因対照研究)**の定義そのものです。したがって正答は2です。
コホート研究の利点は、罹患率と相対危険度、寄与危険度を直接求められること、要因と疾病の時間的な前後関係が明確であること、**情報の正確性が高い(思い出しバイアスが少ない)**こと、一つの要因から複数の疾病を検討できることです。欠点は、多数の対象者と長い追跡期間、多額の費用を要すること、まれな疾病には向かないこと、追跡途中の脱落が生じることです。
他の選択肢を確認します。
**患者対照研究(症例対照研究)**は、疾病にかかった人と、かかっていない人を集め、過去にさかのぼって要因への曝露を比較する後ろ向き研究です。まれな疾病に強く、短期間で安価ですが、オッズ比しか求められず、思い出しバイアスを受けます。
ランダム化比較試験と介入研究は、いずれも研究者が意図的に要因を与える(または除く)方法です。ランダム化比較試験は、対象者を無作為に割り付けることでバイアスと交絡を減らし、因果関係の証明力が最も高いとされます。しかし、喫煙のような有害な要因を意図的に割り付けることは倫理的に許されないため、この設問の研究デザインには当てはまりません。
選択肢の確認
1.患者対照研究
誤り。疾病の有無で群を分け、過去にさかのぼる後ろ向き研究です。
2.コホート研究
正しい。要因の有無で群を分けて追跡し、発生率を比較する前向き研究です。
3.ランダム化比較試験
誤り。無作為に割り付けて要因を与える介入研究の一種です。
4.介入研究
誤り。研究者が要因を与える研究であり、観察研究ではありません。
覚えるポイント
- コホート研究=要因で分けて追跡。罹患率と相対危険度が求められる。時間と費用がかかる。
- 症例対照研究=疾病で分けて過去を調べる。まれな疾病に強い。オッズ比、思い出しバイアス。
- 介入研究(ランダム化比較試験)=因果関係の証明力が最も高い。有害要因は倫理上割り付けられない。