17AM6|第17回 はり師・きゅう師国家試験 過去問
自家製の飯ずしを食べた者が呼吸困難と神経麻痺を起こした。病原体はどれか。
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正解: 2
正答
2
この問題のポイント
食中毒の原因菌を、食品と症状から特定する問題です。神経麻痺を起こす食中毒は限られています。
解説
設問の手がかりは2つです。第一に「自家製の飯ずし」という食品、第二に「呼吸困難と神経麻痺」という症状です。
ボツリヌス菌は、土壌や海水中に広く存在する偏性嫌気性の芽胞形成菌です。酸素のない環境で増殖し、極めて強力な神経毒素(ボツリヌス毒素)を産生します。自家製の飯ずし(いずし)、真空パック食品、缶詰、瓶詰、ハムやソーセージなど、空気を遮断して保存された食品が原因となります。北海道や東北地方の飯ずしによる事例が知られています。
症状は神経症状が中心で、毒素が神経筋接合部でアセチルコリンの放出を阻害するために生じます。眼症状(複視、眼瞼下垂、瞳孔散大)から始まり、構音障害、嚥下障害、口渇が続き、進行すると四肢の弛緩性麻痺と呼吸筋麻痺による呼吸困難に至り、致死率が高い食中毒です。設問の症状と一致し、正答は2です。芽胞は加熱に強い一方、毒素は加熱により失活するため、十分な加熱が予防になります。また、乳児ボツリヌス症を防ぐため、1歳未満の乳児にはちみつを与えないという注意もあわせて重要です。
他の選択肢を確認します。
ノロウイルスは、生カキなどの二枚貝や感染者の吐物・便を介して感染し、嘔吐、下痢、腹痛を起こします。冬季に多く、感染力が極めて強いのが特徴です。
ブドウ球菌(黄色ブドウ球菌)は、手指の化膿巣から食品を汚染し、**エンテロトキシン(毒素)**を産生します。おにぎりや弁当が原因となり、潜伏期が短く(1から6時間)、激しい嘔吐と腹痛をきたします。毒素は耐熱性で、加熱しても防げません。
サルモネラ属は、鶏卵、食肉などが原因となり、発熱、腹痛、下痢をきたす感染型食中毒です。
選択肢の確認
1.ノロウイルス
誤り。二枚貝などが原因で、嘔吐と下痢が主症状です。
2.ボツリヌス菌
正しい。嫌気状態で増殖し、神経毒素により麻痺と呼吸困難をきたします。
3.ブドウ球菌
誤り。耐熱性の毒素により、短い潜伏期で激しい嘔吐をきたします。
4.サルモネラ属
誤り。鶏卵や食肉が原因で、発熱と下痢をきたす感染型です。
覚えるポイント
- ボツリヌス菌=嫌気性、芽胞、神経毒素。飯ずしや真空パック食品。眼症状から呼吸筋麻痺へ。
- 毒素は加熱で失活、芽胞は耐熱性。1歳未満にはちみつを与えない(乳児ボツリヌス症)。
- ブドウ球菌=耐熱性毒素で短い潜伏期の嘔吐、ノロウイルス=二枚貝、冬季、サルモネラ=鶏卵と食肉。