17AM73|第17回 はり師・きゅう師国家試験 過去問
鉄欠乏性貧血について適切でない記述はどれか。
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正解: 3
正答
3
この問題のポイント
鉄欠乏性貧血の治療を問う問題です。不足しているものを補うという原則で判断します。
解説
鉄欠乏性貧血は、最も頻度の高い貧血で、鉄の不足によりヘモグロビンが十分に合成できず、小球性低色素性貧血を呈します。
原因は、鉄の喪失、需要の増大、摂取不足、吸収障害に分けられます。喪失としては、**月経過多、消化管出血(胃癌、大腸癌、胃潰瘍、痔核)**が重要です。需要の増大としては、妊娠、授乳、成長期があります。したがって「妊娠時に起こりやすい」は適切な記述です。とくに成人男性や閉経後の女性に鉄欠乏性貧血がみられた場合は、消化管からの出血、すなわち悪性腫瘍を念頭に置いた精査が必要です。
症状は、貧血に共通する息切れ、動悸、易疲労感、めまい、頭痛、顔面蒼白、眼瞼結膜の蒼白です。組織への酸素供給を保とうとして心拍数が増えるため、代償性の頻脈もみられます。したがって「息切れ・動悸の訴えがある」は適切な記述です。加えて、鉄欠乏に特有の所見として、**匙状爪(スプーンネイル)、口角炎、舌炎、嚥下障害(プランマー・ビンソン症候群)、異食症(氷食症)**が知られています。
検査所見では、血清鉄が低下し、総鉄結合能(TIBC)が上昇し、そして貯蔵鉄を反映する血清フェリチンが低下します。フェリチンの低下は、鉄欠乏を最も早期に、かつ鋭敏に示す指標です。したがって「血清フェリチン値は減少する」は適切な記述です。
治療は、鉄剤の投与です。したがって「ビタミン剤の投与が有効である」は適切でなく、これが正答で3です。経口鉄剤が基本で、副作用として悪心や便秘、黒色便がみられます。重要なのは、ヘモグロビン値が正常に戻った後も、貯蔵鉄(フェリチン)が回復するまで数か月は投与を続けるという点です。そして何より、鉄が失われている原因(出血源)を突き止めて治療することが不可欠です。
なお、ビタミン剤(ビタミンB12と葉酸)が有効なのは、巨赤芽球性貧血です。ビタミンB12欠乏による悪性貧血では、大球性正色素性貧血に加えてハンター舌炎と神経症状を伴います。
選択肢の確認
1.息切れ・動悸の訴えがある。
適切。組織への酸素供給不足を代償するために生じます。
2.妊娠時に起こりやすい。
適切。鉄の需要が増大するため起こりやすくなります。
3.ビタミン剤の投与が有効である。
適切でなく、これが正答。治療は鉄剤の投与です。
4.血清フェリチン値は減少する。
適切。貯蔵鉄を反映し、鉄欠乏を最も早期に示す指標です。
覚えるポイント
- 鉄欠乏性貧血=小球性低色素性。血清鉄低下、TIBC上昇、フェリチン低下。
- 特有の所見=匙状爪、口角炎、舌炎、嚥下障害、異食症。
- 治療は鉄剤を貯蔵鉄が回復するまで継続し、出血源の検索が不可欠。ビタミン剤は巨赤芽球性貧血。