17AM77|第17回 はり師・きゅう師国家試験 過去問
「60歳の男性。糖尿病発症から15年経過、現在腎機能は正常。収縮期血圧は180mmHg、拡張期血圧は90mmHgである。」早期糖尿病性腎症を最も示唆するのはどれか。
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正解: 2
正答
2
この問題のポイント
糖尿病性腎症の早期診断を問う症例問題です。通常の尿検査では捉えられない段階をどう見つけるかが核心です。
解説
60歳の男性で、糖尿病の発症から15年が経過し、現在腎機能は正常、そして収縮期血圧180、拡張期血圧90という高血圧を伴っています。糖尿病の罹病期間が長く、高血圧も合併しているため、糖尿病性腎症の発症と進行が強く懸念される状況です。
糖尿病性腎症は、糖尿病の三大合併症の一つで、成人の透析導入原因の第1位を占めます。病期は次のように進みます。
**第1期(腎症前期)**は、尿所見も腎機能も正常な段階です。
**第2期(早期腎症期)**は、**微量アルブミン尿(尿中アルブミン排泄が1日30から299ミリグラム、または尿中アルブミン・クレアチニン比が30から299)**が出現する段階です。この時期は、通常の尿試験紙による蛋白尿の検査では陰性であり、微量アルブミンを測定して初めて捉えられます。糸球体濾過量はまだ保たれています。したがって、早期糖尿病性腎症を最も示唆するのは微量アルブミン尿であり、正答は2です。この段階で発見して、厳格な血糖と血圧の管理を行えば、進行を抑え、可逆的に改善させることも期待できるという点で、極めて重要な指標です。
**第3期(顕性腎症期)**では、**持続性の蛋白尿(試験紙で陽性)**が出現し、ネフローゼ症候群に至ることもあります。**第4期(腎不全期)**では糸球体濾過量が低下し、第5期で透析療法へ移行します。
他の選択肢を確認します。
クレアチニンクリアランスの低下は、糸球体濾過量の低下を意味し、すでに腎機能が落ち始めたより進行した段階を示します。本症例は「腎機能は正常」とされており、早期を示す指標としては適しません。
HbA1c高値は、過去1から2か月の血糖コントロールが不良であることを示す指標です。腎症の危険因子ではありますが、腎症そのものの存在を示す指標ではありません。
血尿は、糸球体腎炎、尿路結石、尿路の腫瘍や感染などでみられる所見です。糖尿病性腎症は蛋白尿が主体であり、血尿が前面に出ることは典型的ではありません。
選択肢の確認
1.クレアチニンクリアランス低下
誤り。糸球体濾過量の低下を示し、より進行した段階の指標です。
2.微量アルブミン量
正しい。通常の尿検査では捉えられない早期腎症を示す指標です。
3.HbA1c高値
誤り。血糖コントロールの指標であり、腎症の存在を示すものではありません。
4.血尿
誤り。糖尿病性腎症では蛋白尿が主体で、血尿は典型的ではありません。
覚えるポイント
- 早期糖尿病性腎症=微量アルブミン尿。通常の尿試験紙では陰性の段階。
- 病期=腎症前期→早期腎症期(微量アルブミン尿)→顕性腎症期(持続性蛋白尿)→腎不全期→透析療法期。
- 糖尿病性腎症は透析導入原因の第1位。早期発見と厳格な血糖・血圧管理が進行を抑える。