17AM78|第17回 はり師・きゅう師国家試験 過去問
「60歳の男性。糖尿病発症から15年経過、現在腎機能は正常。収縮期血圧は180mmHg、拡張期血圧は90mmHgである。」最近下肢の冷感が出現している。最も優先度の高いスクリーニング検査はどれか。
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正解: 3
正答
3
この問題のポイント
糖尿病患者の下肢の冷感をどう評価するかを問う問題です。まず何を確認すべきかという優先度が問われます。
解説
同じ症例で、最近下肢の冷感が出現したという新たな訴えです。糖尿病患者における下肢の冷感で、最も優先して考えるべきは**末梢動脈疾患(閉塞性動脈硬化症)**です。
糖尿病は、大血管障害(動脈硬化)の強力な危険因子であり、本症例は罹病期間15年、コントロール不良、高血圧の合併という条件がそろっています。下肢の動脈が狭窄または閉塞すると、冷感、しびれ、間欠跛行、安静時痛が現れ、進行すると潰瘍と壊疽に至ります。糖尿病では神経障害による知覚低下が重なるため、症状に気づくのが遅れ、糖尿病性足病変から下肢切断という重大な結果を招きます。
そこで、最も優先度の高いスクリーニング検査は、足背動脈拍動の確認です。正答は3です。理由は、特別な機器を必要とせず、その場で、非侵襲的に、ただちに実施できるからです。足背動脈と後脛骨動脈の拍動を左右で触知し、減弱または消失していれば末梢動脈疾患を強く疑います。あわせて、皮膚の色と温度、足の傷や潰瘍の有無、爪と皮膚の状態を観察します。異常があれば、**足関節上腕血圧比(ABI)**の測定や画像検査へと進みます。
他の選択肢を確認します。
心電図は、糖尿病患者では無痛性心筋梗塞の危険があるため定期的な評価が望ましい検査ですが、下肢の冷感という訴えに対する検査としては優先度が下がります。
頸動脈超音波検査は、全身の動脈硬化の程度を評価するのに有用で、脳血管障害のリスク評価にもつながりますが、下肢の症状に対する直接の検査ではなく、また機器を要します。
両側アキレス腱反射は、糖尿病性神経障害の評価として重要な所見です。糖尿病では早期から減弱または消失します。ただし、今回の主訴は冷感であり、まず血流を確認するのが順序として適切です。神経障害と血流障害はしばしば併存するため、いずれも評価すべきですが、優先されるのは血流の評価です。
施術の場でも、足背動脈の触知と足の皮膚の観察は、糖尿病患者に対する基本的な確認事項です。血流障害や傷があれば、温熱刺激と強い刺激を避け、医療機関の受診を勧めます。
選択肢の確認
1.心電図
誤り。重要な検査ですが、下肢の冷感に対する優先度は下がります。
2.頸動脈超音波検査
誤り。全身の動脈硬化の評価に有用ですが、下肢の直接の評価ではありません。
3.足背動脈拍動の確認
正しい。その場で非侵襲的に末梢の血流を評価できます。
4.両側アキレス腱反射
誤り。神経障害の評価として重要ですが、冷感ではまず血流を確認します。
覚えるポイント
- 糖尿病の下肢の冷感=まず末梢動脈疾患を疑い、足背動脈と後脛骨動脈の拍動を触知する。
- 次いで足関節上腕血圧比(ABI)。神経障害の知覚低下が重なり発見が遅れる。
- 施術では足の皮膚の観察が必須。血流障害や傷があれば温熱と強刺激を避け受診を勧める。