17AM79|第17回 はり師・きゅう師国家試験 過去問
「69歳の女性。10年前から高血圧症にて内服加療中。時々右上下肢のしびれを自覚していたが、最近物忘れがひどくなってきた。また、わけもなく泣いたりすることも多い。物忘れが多いわりに判断力は保たれている。」最も考えられるのはどれか。
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正解: 2
正答
2
この問題のポイント
認知症の鑑別を行う症例問題です。高血圧、片側の症状、感情失禁、まだら認知症という4つの手がかりを読み取ります。
解説
69歳の女性で、次の所見があります。
10年前から高血圧症にて内服加療中という点は、脳血管障害の危険因子が長期にわたって存在することを示します。
時々右上下肢のしびれを自覚していたという点は、**一過性脳虚血発作や小さな脳梗塞(ラクナ梗塞)**が繰り返し起きていた可能性を示唆します。片側性の局所症状であることが重要です。
わけもなく泣いたりすることも多いという点は、**感情失禁(情動失禁)**です。わずかな刺激で泣いたり笑ったりが抑えられなくなるもので、脳血管性認知症や偽性球麻痺に特徴的な症状です。
物忘れが多いわりに判断力は保たれているという点は、まだら認知症です。障害される機能とされない機能がまだらに存在する状態で、病変が脳の一部に限られることを反映しています。人格も比較的保たれます。
これらを総合すると、脳血管性認知症が最も考えられ、正答は2です。脳血管性認知症は、多発性の脳梗塞や脳出血の蓄積により生じ、経過は階段状に悪化します。男性にやや多く、高血圧、糖尿病、脂質異常症、心房細動、喫煙といった血管危険因子の管理が予防と進行抑制の鍵となります。あわせて、歩行障害、構音障害、嚥下障害、尿失禁、パーキンソニズムを伴うことも多くみられます。
他の選択肢を確認します。
アルツハイマー病は、女性にやや多く、緩徐に進行します。近時記憶障害(物忘れ)から始まり、見当識障害、判断力の低下、実行機能障害へと全般的に進み、物盗られ妄想を伴うことがあります。まだら認知症や感情失禁は特徴ではありません。
**ピック病(前頭側頭型認知症)**は、比較的若年に発症し、人格変化、脱抑制、常同行動(同じ道を歩き回る、同じものを食べ続ける)、反社会的行動、無関心が前面に出ます。記憶障害は初期には目立ちません。
**プリオン病(クロイツフェルト・ヤコブ病)**は、急速に進行する認知症に、ミオクローヌス、錐体路と錐体外路徴候、無動性無言が加わり、発症から1年以内に死亡することが多い疾患です。経過の速さが決定的に異なります。
選択肢の確認
1.アルツハイマー病
誤り。緩徐に全般的に進行し、まだら認知症や感情失禁は特徴ではありません。
2.脳血管性認知症
正しい。高血圧、片側症状、感情失禁、まだら認知症が一致します。
3.ピック病
誤り。人格変化と脱抑制、常同行動が前面に出ます。
4.プリオン病
誤り。急速に進行しミオクローヌスを伴います。
覚えるポイント
- 脳血管性認知症=血管危険因子、片側の局所症状、感情失禁、まだら認知症、階段状の悪化。
- アルツハイマー型=緩徐に全般的進行、物盗られ妄想。前頭側頭型=人格変化と脱抑制、常同行動。
- レビー小体型=幻視、パーキンソニズム、認知機能の動揺、レム睡眠行動障害。