17PM100|第17回 はり師・きゅう師国家試験 過去問
胸苦しさと手掌のほてりを呈する経脈病証の所見で適切でないのはどれか。
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正解: 1
正答
1
この問題のポイント
経脈病証を症状から特定し、含まれない所見を選ぶ問題です。胸と手掌の症状が手がかりになります。
解説
設問の症状は、胸苦しさと手掌のほてりです。
手の厥陰心包経の走行を確認します。胸中に起こり、心包に属して横隔膜を下り三焦に絡します。分枝は**胸を出て脇(腋の下3寸の天池)に至り、腋窩を巡って上腕内側の中央(上腕二頭筋の長頭と短頭の間)**を下り、肘窩の中央(曲沢)、**前腕前面の正中(郄門、間使、内関、大陵)**を経て、**手掌の中央(労宮)**に至り、**中指の先端(中衝)**に終わります。
この走行から、心包経の病証は次のようになります。是動病として、手心熱(手のひらのほてり)、臂肘攣急(前腕と肘のひきつり)、腋腫(腋の腫れ)、甚だしければ胸脇支満(胸と脇が張って苦しい)、心中憺憺大動(激しい動悸)、面赤、目黄、喜笑不休が挙げられます。所生病として、煩心、心痛、掌中熱が挙げられます。
設問の「胸苦しさ」は胸脇支満に、「手掌のほてり」は手心熱、掌中熱に対応します。すなわち、この症例は手の厥陰心包経の病証と判断できます。
そこで、選択肢のうち心包経の病証に含まれないものを探します。
腋の腫れは、是動病の腋腫そのものであり、含まれます。
前腕の痛みは、是動病の臂肘攣急に対応し、心包経が前腕前面の正中を走行することとも一致します。したがって含まれます。
咽の渇きは、心系の病証としてみられる症状です。心包は心を包んで守る器官であり、心の病証と共通する所見が現れることがあります。
頭痛は、心包経の走行に含まれない部位の症状です。心包経は胸中から始まり、脇、上腕内側、前腕前面、手掌、中指へと走行し、頭部には及びません。したがって、心包経の病証として頭痛は挙げられず、適切でないものとして正答は1です。
頭痛が現れる経脈は、走行から考えると、**足の太陽膀胱経(後頭部と項部)、足の陽明胃経(前頭部)、足の少陽胆経(側頭部)、足の厥陰肝経(頭頂部)**などです。
選択肢の確認
1.頭痛
適切でなく、これが正答。心包経は頭部に走行せず、病証に含まれません。
2.咽の渇き
適切。心系の病証としてみられる症状です。
3.腋の腫れ
適切。是動病の腋腫に対応します。
4.前腕の痛み
適切。是動病の臂肘攣急に対応します。
覚えるポイント
- 手の厥陰心包経=胸中→脇(天池)→上腕内側中央→肘窩(曲沢)→前腕前面正中→手掌(労宮)→中指(中衝)。
- 病証=手心熱と掌中熱、臂肘攣急、腋腫、胸脇支満、心中憺憺大動、煩心、心痛。
- 頭部には走行しない。頭痛は膀胱経(後頭)、胃経(前頭)、胆経(側頭)、肝経(頭頂)。