17PM122第17回 はり師・きゅう師国家試験 過去問

過去問題(未分類)第17回午後(科目未分類)

次の文で示す患者の病証に対し、適切な治療方針はどれか。「50歳の女性。3か月前から空腹感はあるが食欲がない。口は渇くが水を飲みたがらない。舌質は紅。無苔。脈は細数。」

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正解: 4

正答

4

この問題のポイント

胃陰虚を見抜く症例問題です。空腹感はあるのに食べられないという矛盾した訴えが鍵になります。

解説

50歳の女性で、次の所見があります。

空腹感はあるが食欲がないという点が最大の手がかりです。これは飢不欲食と呼ばれる症状で、胃陰虚に特徴的です。胃の陰液が不足すると、虚熱が生じて空腹感は起こる一方、受納と腐熟に必要な潤いが足りないため実際には食べられないという状態になります。単なる食欲不振(脾気虚)とは異なる点に注意します。

口は渇くが水を飲みたがらないという点も重要です。陰虚では津液が不足するため口は渇きますが、実熱のように大量に冷水を飲みたがるのではなく、少量を口に含む程度になります。この訴え方の違いが、実熱と虚熱を分ける手がかりです。

舌質は紅、無苔という所見が決定的です。舌苔は胃気と津液によってつくられるため、**胃陰が不足すると舌苔がつくれず、剥落苔から無苔(鏡面舌)**となります。あわせて舌質が紅いことは虚熱を示します。

脈は細数であり、細脈は陰血の不足を、数脈は熱を示します。すなわち陰虚内熱を裏づけます。

以上から病証は胃陰虚であり、治療方針は**胃陰を補う(滋養胃陰)**ことです。正答は4です。取穴では、中脘(胃の募穴、腑会)、胃兪、足三里、三陰交、太渓、内庭、内関などを用い、補法を中心とします。あわせて、熱く辛いもの、脂っこいもの、酒を控え、潤いのある食事をとるという生活指導が重要です。

他の選択肢を確認します。

肝血を補うのは、肝血虚に対する方針です。眼精疲労、目の乾燥とかすみ、視力低下、手足のしびれ、こむら返り、爪のもろさ、舌質淡、脈細がみられる場合に用います。本症例は舌質紅であり、当てはまりません。

心陽を補うのは、心陽虚に対する方針です。動悸、息切れ、胸悶と胸痛、四肢の冷え、畏寒、舌質淡、脈沈遅がみられる場合に用います。本症例は熱の所見が中心であり、逆方向です。

肺気を補うのは、肺気虚に対する方針です。息切れ、声に力がない、自汗、風邪をひきやすい、咳に力がない、舌質淡、脈弱がみられる場合に用います。本症例の消化器症状と虚熱の所見は説明できません。

なお、中高年で食欲不振と体重減少が続く場合は、悪性腫瘍を含む器質的疾患を念頭に置き、医療機関での精査を勧める判断も必要です。

選択肢の確認

1.肝血を補う
誤り。目の症状や舌質淡など肝血虚の所見がありません。

2.心陽を補う
誤り。冷えや動悸など心陽虚の所見がなく、方向が逆です。

3.肺気を補う
誤り。息切れや自汗など肺気虚の所見がありません。

4.胃陰を補う
正しい。飢不欲食、無苔、細数脈がいずれも胃陰虚を示します。

覚えるポイント

  • 胃陰虚=空腹感はあるが食べられない(飢不欲食)、口渇はあるが多くは飲まない、舌紅で無苔、脈細数
  • 舌苔は胃気と津液がつくる剥落苔と鏡面舌は陰虚
  • 方針は滋養胃陰。中脘、胃兪、足三里、三陰交、太渓。中高年の食欲不振と体重減少は器質的疾患も考慮。
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