17PM123第17回 はり師・きゅう師国家試験 過去問

過去問題(未分類)第17回午後(科目未分類)

次の文で示す患者の病証に対する刺法として適切なのはどれか。「45歳の女性。冷感が足先から膝や腰まで上がり、下痢しやすい。」

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正解: 1

正答

1

この問題のポイント

寒厥に対する古代刺法を問う症例問題です。冷えが下から上へ及ぶという所見から病態を判断します。

解説

45歳の女性で、冷感が足先から膝や腰まで上がり、下痢しやすいという所見です。

これは、陽気が不足して四肢末端から冷えが上行する状態、すなわち寒厥にあたります。「厥」は四肢の冷え、あるいは気が逆上して意識を失う状態を指す語で、寒厥陽気の衰えによる冷えを意味します。下痢しやすいことも、脾腎の陽虚による運化と固摂の低下を示します。

十二刺のうち、寒厥に用いる刺法が陰刺です。したがって正答は1です。陰刺は、左右両側の同じ経穴に刺鍼する方法で、とくに足の少陰腎経の太渓を用いるとされます。腎は**陽気の根本(命門の火)**を宿す臓であり、その原穴である太渓を左右から補うことで、下焦の陽気を回復させるという考え方です。

他の選択肢を確認します。

浮刺は、筋が寒によって急に拘縮した状態に対して行う刺法で、患部の傍らから斜めに浅く刺入します。冷えが原因という点では共通しますが、対象は筋の拘縮であり、全身的な陽虚による冷えではありません。

報刺は、痛みの部位が定まらず遊走する場合に用いる刺法です。まず痛むところに刺し、鍼を抜いてから、次に痛むところを探して再び刺すという操作を繰り返します。風邪による行痹などが対象です。

輸刺は、気が盛んで熱がある場合に用いる刺法で、まっすぐ深く刺入し、まっすぐ抜くという操作を行います。設問の寒証とは逆の実熱に対するものです。

十二刺をまとめて整理します。**偶刺(心痺、胸と背から前後に挟んで刺す)、報刺(遊走する痛み)、恢刺(筋痺、関節近くの腱に刺し鍼を動かす)、斉刺(三鍼、範囲が狭く深い痺)、揚刺(五鍼、寒気が広く浅い)、直針刺(皮膚をつまみ上げて浅く刺す)、輸刺(気盛んで熱あるもの)、短刺(骨痺、骨に近づけて刺す)、浮刺(寒による筋の拘縮)、陰刺(寒厥、左右両側)、傍針刺(留痺)、賛刺(癰腫、浅く速く刺して出血させる)**です。

臨床的には、こうした冷えに対しては灸を積極的に用いることも重要です。関元、気海、腎兪、命門、三陰交、太渓、足三里などへの施灸により、下焦を温めて陽気を補います。

選択肢の確認

1.陰刺
正しい。寒厥に対して左右両側に刺す刺法です。

2.浮刺
誤り。寒による筋の拘縮に対して斜めに浅く刺す刺法です。

3.報刺
誤り。遊走する痛みに対して抜いてまた刺す刺法です。

4.輸刺
誤り。気が盛んで熱がある場合にまっすぐ深く刺す刺法です。

覚えるポイント

  • 陰刺=寒厥に対して左右両側に刺す。足の少陰腎経の太渓を用いる。
  • 偶刺=心痺恢刺=筋痺短刺=骨痺浮刺=寒による筋の拘縮報刺=遊走痛
  • 陽虚の冷えには灸を併用。関元、気海、腎兪、命門、三陰交、太渓。
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