17PM127|第17回 はり師・きゅう師国家試験 過去問
肩こりを訴える患者に対し、肩甲挙筋の緊張緩和を目的に 罹患筋起始部へ刺鍼する場合、適切なのはどれか。
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正解: 3
正答
3
この問題のポイント
肩甲挙筋の起始部を問う問題です。停止ではなく起始である点に注意します。
解説
肩甲挙筋は、肩こりの治療において重要な筋の一つです。その解剖を確認します。
起始は、第1頸椎から第4頸椎の横突起(後結節)です。すなわち上位頸椎の横突起から起こります。
停止は、肩甲骨の上角と内側縁の上部です。
作用は、肩甲骨の挙上と下方回旋、そして頸椎の側屈と同側への回旋です。
支配神経は、**肩甲背神経(C4からC5)**であり、菱形筋と同じ支配を受けます。
設問は、罹患筋の起始部への刺鍼を求めています。起始は第1から第4頸椎の横突起ですから、選択肢の中では第3頸椎横突起部が該当し、正答は3です。この部位は、経穴でいえば天鼎や扶突の後方にあたる領域で、実際の臨床では、胸鎖乳突筋の後縁と僧帽筋の前縁の間から、頸椎の横突起を目標に刺鍼します。
一方、肩甲骨上角(停止部)への施術も肩こりに対して広く行われ、こちらは肩外兪や曲垣の付近にあたります。設問が「起始部」を問うている点を読み落とさないことが重要です。
他の選択肢を確認します。
外後頭隆起部は、後頭骨の正中の隆起であり、僧帽筋の起始部の一部にあたります。肩甲挙筋の起始部ではありません。
乳様突起部は、側頭骨の突起で、胸鎖乳突筋と頭板状筋、顎二腹筋後腹の停止部です。経穴では完骨がこの後下方にあります。
第6頸椎横突起部は、下位頸椎にあたります。肩甲挙筋の起始は第4頸椎までであり、また第6頸椎横突起の前結節(頸動脈結節)は総頸動脈を圧迫できる部位として知られ、この付近には椎骨動脈も走行するため、深刺は極めて危険です。
肩甲挙筋への刺鍼にあたっては、頸椎横突起の位置と深さを正確に把握し、深刺を避けることが不可欠です。頸部には椎骨動脈、腕神経叢、総頸動脈と内頸静脈、そして下方には肺尖が存在します。
選択肢の確認
1.外後頭隆起部
誤り。僧帽筋の起始部の一部にあたります。
2.乳様突起部
誤り。胸鎖乳突筋や頭板状筋の停止部です。
3.第3頸椎横突起部
正しい。肩甲挙筋は第1から第4頸椎の横突起から起こります。
4.第6頸椎横突起部
誤り。肩甲挙筋の起始は第4頸椎までです。
覚えるポイント
- 肩甲挙筋=第1から第4頸椎の横突起(起始)→肩甲骨上角と内側縁上部(停止)。肩甲背神経支配。
- 作用=肩甲骨の挙上と下方回旋、頸椎の側屈と同側回旋。
- 頸部の刺鍼は椎骨動脈、腕神経叢、総頸動脈、肺尖に注意し、深刺を避ける。