17PM130|第17回 はり師・きゅう師国家試験 過去問
トレンデレンブルグ徴候を呈する場合、罹患局所への治療部位として最も適切なのはどれか。
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正解: 2
正答
2
この問題のポイント
トレンデレンブルグ徴候が示す筋を特定し、その局所を答える問題です。
解説
トレンデレンブルグ徴候は、片脚立位をとらせたときに、遊脚側(挙げた側)の骨盤が下がるという所見です。
その機序を確認します。片脚で立つとき、支持側の**中殿筋(および小殿筋)**が働いて骨盤を水平に保ちます。この筋が弱いと骨盤を支えられず、反対側の骨盤が下がって傾くことになります。すなわち、トレンデレンブルグ徴候陽性は、支持側の中殿筋の筋力低下を示します。
原因としては、変形性股関節症、先天性股関節脱臼、大腿骨頸部骨折、上殿神経麻痺、股関節の手術後、筋ジストロフィーなどがあります。両側に生じると、歩行時に体幹が左右に大きく揺れる**動揺性歩行(あひる歩行)**を呈します。
中殿筋の解剖を確認します。起始は腸骨翼の外面(前殿筋線と後殿筋線の間)、停止は大腿骨の大転子、作用は股関節の外転と、前部線維による内旋、後部線維による外旋です。支配神経は上殿神経で、小殿筋と大腿筋膜張筋も同じ支配を受けます。
したがって、罹患局所への治療部位として最も適切なのは、中殿筋が停止する大転子周囲です。正答は2です。この領域には、経穴として**居髎(上前腸骨棘と大転子頂点の中点)、環跳(大転子頂点と仙骨裂孔を結ぶ線上、大転子から3分の1)**があり、中殿筋と小殿筋、梨状筋への施術に用いられます。あわせて、**中殿筋の筋力強化訓練(側臥位での股関節外転運動など)**が重要になります。
他の選択肢を確認します。
第3腰椎棘突起周囲は、腰部の脊柱起立筋や多裂筋の領域であり、中殿筋の局所ではありません。ただし、上殿神経の由来はL4からS1であるため、神経根レベルの評価としては腰部も無関係ではありません。
膝蓋骨周囲は、大腿四頭筋と膝関節の領域であり、股関節外転筋とは異なります。
踵骨周囲は、下腿三頭筋の停止部と足底腱膜の起始部の領域です。
なお、環跳や大転子周囲への刺鍼では、深部に坐骨神経が走行するため、刺入の方向と深度を慎重に管理する必要があります。
選択肢の確認
1.第3腰椎棘突起周囲
誤り。腰部の脊柱起立筋などの領域です。
2.大転子周囲
正しい。中殿筋が停止する部位であり、罹患局所にあたります。
3.膝蓋骨周囲
誤り。大腿四頭筋と膝関節の領域です。
4.踵骨周囲
誤り。下腿三頭筋の停止部と足底腱膜の領域です。
覚えるポイント
- トレンデレンブルグ徴候=支持側の中殿筋の筋力低下。遊脚側の骨盤が下がる。
- 中殿筋=腸骨翼外面から大転子、股関節の外転、上殿神経支配。両側性であひる歩行。
- 局所=大転子周囲(居髎、環跳)。深部に坐骨神経があり刺入に注意。