17PM131|第17回 はり師・きゅう師国家試験 過去問
次の文で示す患者の病態に対し、罹患部への局所治療穴として適切なのはどれか。「23歳の女性。バレーボール選手。スパイクの着地時に膝前面が痛む。」
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正解: 3
正答
3
この問題のポイント
ジャンパー膝を見抜く症例問題です。膝前面の痛みと着地動作が手がかりになります。
解説
23歳の女性で、バレーボール選手、スパイクの着地時に膝前面が痛むという所見です。
ジャンプと着地を繰り返す競技で、膝の前面に痛みが生じる代表的な病態が、**膝蓋腱炎(ジャンパー膝、膝蓋靱帯炎)**です。バレーボール、バスケットボール、走り高跳びなどの選手に多くみられます。
機序は次のとおりです。ジャンプの踏み切りと着地では、大腿四頭筋が強く収縮して膝の屈曲を制動します。その力はすべて**膝蓋腱(膝蓋靱帯)**を介して脛骨粗面に伝わるため、膝蓋骨下極から膝蓋腱にかけて繰り返しの牽引ストレスが加わり、微細損傷と炎症が生じます。膝蓋骨下極の圧痛が特徴的で、階段の昇降やしゃがみ込みでも痛みが出ます。
したがって、罹患部への局所治療穴は膝前面の経穴を選びます。犢鼻(外膝眼)は、膝前面、膝蓋靱帯外方の陥凹部にある足の陽明胃経の経穴で、まさに膝蓋腱の外側に接する位置にあります。したがって正答は3です。あわせて、内膝眼(膝蓋靱帯内方)、鶴頂(膝蓋骨底の中央上際)、梁丘(膝蓋骨底の上方2寸、胃経の郄穴)、血海、足三里などが用いられます。施術に加えて、大腿四頭筋のストレッチ、ハムストリングの柔軟性改善、着地動作の見直し、練習量の調整、アイシングといった指導が重要です。
他の選択肢を確認します。
委陽は、膝後外側、大腿二頭筋腱の内側縁、膝窩横紋上にある足の太陽膀胱経の経穴で、三焦の下合穴です。膝の後面であり、前面の痛みの局所ではありません。
曲泉は、膝内側、半腱様筋腱と半膜様筋腱の内側の陥凹部、膝を屈曲したときにできる横紋の内端にある足の厥陰肝経の合水穴です。膝の内側にあり、内側側副靱帯損傷などの局所治療穴として用いられます。
陽陵泉は、下腿外側、腓骨頭前下方の陥凹部にある足の少陽胆経の合土穴で、胆の下合穴かつ八会穴の筋会です。膝の外側であり、腸脛靱帯炎や外側の障害に用いられます。なお、この付近では総腓骨神経が腓骨頸を回るため、刺鍼に注意が必要です。
膝の痛みは部位で鑑別するという原則を押さえます。前面は膝蓋腱炎、膝蓋大腿関節障害、オスグッド病、内側は内側側副靱帯損傷、内側半月板損傷、鵞足炎、変形性膝関節症(内側型)、外側は腸脛靱帯炎、外側半月板損傷、後面はベーカー嚢腫、膝窩筋の障害です。
選択肢の確認
1.委陽
誤り。膝の後外側にあり、前面の局所ではありません。
2.曲泉
誤り。膝の内側にあり、内側側副靱帯損傷などの局所です。
3.犢鼻
正しい。膝蓋靱帯の外方にあり、罹患部の局所にあたります。
4.陽陵泉
誤り。膝の外側にあり、腸脛靱帯炎などの局所です。
覚えるポイント
- ジャンパー膝(膝蓋腱炎)=ジャンプと着地の反復、膝蓋骨下極の圧痛。局所は犢鼻と内膝眼、鶴頂。
- 膝の痛みは部位で鑑別=前面(膝蓋腱炎、オスグッド病)、内側(内側側副靱帯、鵞足炎)、外側(腸脛靱帯炎)、後面。
- 対応=大腿四頭筋のストレッチ、練習量の調整、アイシング、動作の見直し。