17PM136|第17回 はり師・きゅう師国家試験 過去問
「28歳の女性。11月頃より肩甲部から上肢にかけて重だるさと痛みが出現した。また食後の腹脹と下痢がある。寒冷により症状は増強し、温めると軽減する。」 施術対象として適切な経脈はどれか。
解答・解説を見る
正解: 4
正答
4
この問題のポイント
症状の分布から施術対象の経脈を選ぶ問題です。肩甲部を通る経脈はどれかが決め手になります。
解説
同じ症例で、症状の部位は肩甲部から上肢にかけてです。この分布を走行でとらえます。
手の太陽小腸経の走行を確認します。手の第5指尺側端(少沢)に始まり、手の尺側縁から前腕後内側を上行し、肘の内側(小海、尺骨神経溝)を経て上腕後内側を上り、**肩関節の後面(肩貞、臑兪)に至ります。そこから肩甲骨(天宗、秉風、曲垣)**を巡り、**肩上部(肩外兪、肩中兪)**を経て、頸部(天窓、天容)から頬(顴髎)、**耳の前(聴宮)**に終わります。
すなわち、小腸経は肩甲部を大きく巡り、かつ上肢の後内側を走行する唯一の経脈といえます。設問の「肩甲部から上肢にかけて」という分布に最もよく一致するため、正答は4です。
さらに、東洋医学的な意味づけも加わります。本症例には食後の腹脹と下痢という消化器症状があります。小腸は受盛化物と泌別清濁を主る腑であり、清濁を分ける働きが失調すれば、水分が便に混じって下痢となります。すなわち、経脈の走行と腑の生理作用の両面から、小腸経が施術対象として適切と判断できます。
他の選択肢を確認します。
肺経は、**中焦に起こり、上焦から前胸部(中府、雲門)を経て、上肢の前外側(橈側)**を下行し、母指の橈側端(少商)に終わります。肩甲部は通りません。
三焦経は、薬指(環指)尺側端(関衝)に始まり、前腕後面の中央を上行し、肘頭を経て上腕後面を上り、肩(肩髎、臑会)から頸部、耳の後ろ、外眼角に至ります。上肢の後面を通りますが、肩甲部を巡るという特徴はありません。
心包経は、胸中に起こり、脇(天池)から上腕内側の中央を下り、肘窩(曲沢)、前腕前面の正中を経て、手掌(労宮)から中指(中衝)に終わります。**上肢の前面(内側)**であり、肩甲部は通りません。
肩甲部と背部を通る主な経脈を整理すると、手の太陽小腸経(肩甲骨を巡る)、足の太陽膀胱経(脊柱の両側を下行、背部兪穴を含む)、手の少陽三焦経(肩上部)、足の少陽胆経(肩井)、**督脈(後正中線)**となります。
選択肢の確認
1.肺経
誤り。前胸部から上肢の前外側を走行し、肩甲部は通りません。
2.三焦経
誤り。上肢後面を通りますが、肩甲部を巡る経脈ではありません。
3.心包経
誤り。上肢の前面正中を走行します。
4.小腸経
正しい。肩甲部を巡り、上肢の後内側を走行します。
覚えるポイント
- 手の太陽小腸経=小指尺側→前腕後内側→肘内側(小海)→肩後面(肩貞、臑兪)→肩甲骨(天宗、秉風、曲垣)→頸→頬→聴宮。
- 小腸は受盛化物と泌別清濁。清濁を分ける失調で下痢を生じる。
- 肩甲部と背部=小腸経、膀胱経、三焦経、胆経(肩井)、督脈。