17PM149|第17回 はり師・きゅう師国家試験 過去問
腹部鍼刺激で起こる胃運動抑制反応に主として関与するのはどれか。
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正解: 3
正答
3
この問題のポイント
体性-内臓反射の分節性を問う問題です。腹部への刺激がどの自律神経を介するかを考えます。
解説
**体性-内臓反射(体性-自律神経反射)**は、体表への刺激が求心性線維を介して脊髄や上位中枢に入り、自律神経の活動を変化させて内臓機能を調節する仕組みです。
この反射は、刺激する部位によって効果の向きが変わるという重要な特徴をもちます。胃運動を例に整理します。
腹部への刺激では、その情報が胃を支配する交感神経の節前ニューロンが存在する脊髄分節(第5から第9胸髄付近)に入ります。この分節には交感神経の節前ニューロンが側角に存在するため、分節性(脊髄性)の反射が成立しやすく、交感神経の活動が高まって胃の運動が抑制されます。したがって正答は3です。
四肢への刺激では、入力する脊髄分節(頸髄下部や腰仙髄)に交感神経の節前ニューロンが乏しいため、分節性の反射は起こりにくく、代わりに上位中枢(延髄)を介した全身性(上脊髄性)の反応が優位になります。この場合、迷走神経(副交感神経)の活動が高まって胃の運動が促進される方向に働きます。
すなわち、腹部への刺激は胃運動を抑制し、四肢への刺激は胃運動を促進するという対比が成り立ちます。これは実験的にも確認されている、体性-内臓反射の代表例です。
他の選択肢を確認します。
延髄は、**迷走神経の起始核(迷走神経背側核)**があり、上脊髄性の反射の中枢として働きます。四肢への刺激による促進反応に関与しますが、腹部刺激による抑制反応の主体ではありません。
迷走神経は副交感神経であり、胃の運動と分泌を促進します。抑制ではなく促進の側です。
仙髄は、骨盤神経(副交感神経)の起始部であり、下行結腸から直腸、膀胱、生殖器を支配します。胃の支配には関与しません。
この知識は臨床にも直結します。胃の機能を高めたい場合は足三里などの四肢の経穴を、過剰な運動を抑えたい場合は腹部への刺激を選ぶ、という使い分けの根拠になります。
選択肢の確認
1.延髄
誤り。上脊髄性の反射の中枢であり、抑制反応の主体ではありません。
2.迷走神経
誤り。副交感神経であり、胃の運動を促進します。
3.交感神経
正しい。腹部刺激では分節性の反射により交感神経が働き胃運動が抑制されます。
4.仙髄
誤り。骨盤神経の起始部であり、胃の支配には関与しません。
覚えるポイント
- 腹部への刺激=分節性の反射で交感神経優位→胃運動の抑制。
- 四肢への刺激=上脊髄性の反応で迷走神経優位→胃運動の促進。
- 交感神経の節前ニューロンは脊髄側角のT1からL2にのみ存在。これが分節性反射の成立を左右する。