17PM156|第17回 はり師・きゅう師国家試験 過去問
施灸部の消毒方法で適切でないのはどれか。
解答・解説を見る
正解: 2
正答
2
この問題のポイント
施術野の消毒方法を問う問題です。手指衛生の方法と混同していないかを見抜きます。
解説
各選択肢を検討します。
施灸前後に行うことは適切です。施灸前の消毒は、皮膚表面の細菌を減らし、施灸に伴う熱傷部からの感染を防ぐ目的で行います。施灸後の消毒は、施灸により皮膚が損傷した部位からの感染を防ぐ目的で行います。とくに有痕灸では組織が破壊されて感染の門戸となるため、前後の消毒が重要です。
ラビング法で擦り込むことは適切でなく、これが正答で2です。ラビング法は、速乾性擦式アルコール製剤(手指消毒剤)を手指に取り、乾燥するまで擦り込むという手指衛生の方法です。すなわち、施術者の手指を消毒する方法であって、患者の施術野(皮膚)を消毒する方法ではありません。施術野の消毒は、消毒用エタノールを含ませた綿花(アルコール綿)で拭くことによって行います。手指衛生には、このほか**流水と石けんで洗う「スクラブ法」**があります。
遠心性に渦巻き状に拭くことは適切です。施術する部位を中心として、外側へ向かって渦巻き状に拭くのが原則です。理由は、中心(これから施術する部位)を最も清潔にし、周囲の汚れを中心に戻さないためです。逆に外側から中心へ拭けば、周囲の細菌を施術部位に運び込むことになります。また、一度拭いた綿花で同じ場所を二度拭かない、綿花は一方向に動かすといった点も基本です。
消毒用エタノールを用いることも適切です。**消毒用エタノール(およそ76.9から81.4パーセント)**は、中水準消毒薬であり、速効性があり、芽胞を除く多くの細菌、結核菌、多くのウイルス、真菌に有効です。皮膚への刺激が少なく、乾燥が速いため、施術野の消毒に広く用いられます。ただし、アルコールに過敏な患者や、損傷した皮膚、粘膜には用いません。その場合は他の消毒薬を選択します。
鍼灸における感染対策は、標準予防策の考え方に基づき、手指衛生、施術野の消毒、単回使用鍼の使用、使用済み鍼の専用容器への廃棄、環境の清潔保持を柱として行われます。
選択肢の確認
1.施灸前後に行う。
適切。施灸前後ともに感染予防のために行います。
2.ラビング法で擦り込む。
適切でなく、これが正答。ラビング法は施術者の手指衛生の方法です。
3.遠心性に渦巻き状に拭く。
適切。中心から外側へ渦巻き状に拭くのが原則です。
4.消毒用エタノールを用いる。
適切。中水準消毒薬であり施術野の消毒に広く用いられます。
覚えるポイント
- 施術野の消毒=消毒用エタノールを含ませた綿花で、中心から外側へ遠心性に渦巻き状に拭く。
- ラビング法とスクラブ法は施術者の手指衛生の方法。施術野の消毒法ではない。
- 感染対策の柱=手指衛生、施術野の消毒、単回使用鍼、専用容器への廃棄、環境の清潔。