17PM89|第17回 はり師・きゅう師国家試験 過去問
脳卒中片麻痺患者への歩行指導について正しい記述はどれか。
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正解: 4
正答
4
この問題のポイント
片麻痺患者の歩行指導を問う問題です。杖と両下肢をどの順に出すかが決め手になります。
解説
各選択肢を検討します。
歩行訓練開始時には歩行器を使用させるという記述は誤りです。歩行器は両上肢で支える必要があるため、片麻痺で一側の上肢が使えない患者には適しません。片麻痺の歩行訓練は、通常平行棒内での立位と歩行から始め、次いで**杖(T字杖や多点杖、必要に応じてロフストランド杖)**へと進みます。装具が必要であれば短下肢装具を併用します。
感覚障害が強い患者にはプラスチック製短下肢装具を使用させるという記述も誤りです。プラスチック製の短下肢装具は下腿と足部に広く密着するため、感覚障害があると圧迫や擦れによる皮膚障害(発赤、水疱、褥瘡)に気づけないという危険があります。感覚障害が強い場合は、金属支柱付きの短下肢装具のように接触面が少ないものが適します。また、装具を用いる場合は装着後に必ず皮膚を観察することが不可欠です。
見守り歩行では介助者は患者の健側に位置するという記述も誤りです。介助者は患側(麻痺側)のやや後方に立ちます。理由は、患者は患側へ崩れやすいため、その方向で支えられるようにするためです。健側に立つと、患側へ倒れたときに支えることができません。
3動作歩行では杖をついた後は患側下肢を前に出させるという記述は正しく、正答は4です。3動作歩行(3点歩行)は、杖→患側下肢→健側下肢という順に、3つの動作に分けて進む歩行です。この順序には理由があります。まず杖を出して前方に支持点をつくり、次に杖と健側下肢という2点で支えながら、不安定な患側下肢を振り出し、最後に杖と患側下肢で支えながら健側下肢を出すという流れになるため、常に安定した支持が保たれます。安定性が高いため、歩行訓練の初期や不安定な患者に用いられます。習熟すれば、**杖と患側下肢を同時に出す2動作歩行(2点歩行)**へ進み、速度と実用性が高まります。
なお、杖は健側の手で持つという原則もあわせて重要です。健側で杖をつくことで、患側下肢と杖が対側となり、支持基底面が広がって安定します。
選択肢の確認
1.歩行訓練開始時には歩行器を使用させる。
誤り。歩行器は両上肢を要するため片麻痺には適しません。
2.感覚障害が強い患者にはプラスチック製短下肢装具を使用させる。
誤り。感覚障害があると皮膚障害に気づけないため適しません。
3.見守り歩行では介助者は患者の健側に位置する。
誤り。介助者は患側のやや後方に位置します。
4.3動作歩行では杖をついた後は患側下肢を前に出させる。
正しい。杖、患側下肢、健側下肢の順に進みます。
覚えるポイント
- 3動作歩行=杖→患側下肢→健側下肢。安定性が高い。習熟すれば2動作歩行へ。
- 杖は健側の手で持つ。介助者は患側のやや後方に立つ。
- 感覚障害が強ければプラスチック製装具を避ける。装着後は必ず皮膚を観察する。