19AM54|第19回 はり師・きゅう師国家試験 過去問
コーヒー残渣様の嘔吐がみられるのはどれか。
解答・解説を見る
正解: 2
正答
2
この問題のポイント
吐物の性状から出血部位を推定する問題です。コーヒー残渣様が意味するものを理解します。
解説
**コーヒー残渣様の嘔吐(吐血)**は、上部消化管(食道、胃、十二指腸)からの出血を示す所見です。
このような色調になる理由は次のとおりです。出血した血液中のヘモグロビンが、胃酸(塩酸)と反応して塩酸ヘマチンに変化すると、黒褐色を呈します。これがコーヒーの出し殻(残渣)のように見えるため、この名で呼ばれます。出血からある程度時間が経ち、胃内に貯留していた場合にみられます。逆に、出血が大量で速い場合や、食道静脈瘤の破裂などでは、鮮紅色の吐血となります。
胃癌は上部消化管の代表的な疾患で、腫瘍からの持続的な出血によりコーヒー残渣様の嘔吐をきたします。したがって正答は2です。胃癌ではほかに、心窩部痛、食欲不振、体重減少、貧血、黒色便(タール便)がみられます。同じ機序で胃潰瘍、十二指腸潰瘍、急性胃粘膜病変でもコーヒー残渣様の吐血が生じます。
**黒色便(タール便)**も同様に、上部消化管からの出血が腸内を通過する間に酸化・変性して黒色になったものです。吐血にはコーヒー残渣様、下血には黒色便という対応を押さえます。
他の選択肢を確認します。クローン病は口から肛門までのどこにも起こりうる炎症性腸疾患ですが、好発部位は回腸末端で、腹痛、下痢、体重減少、瘻孔、肛門病変が主症状です。大腸癌と潰瘍性大腸炎は下部消化管の疾患であり、出血は鮮血便や粘血便として現れます。潰瘍性大腸炎では粘血便と頻回の下痢、しぶり腹が特徴です。これらでコーヒー残渣様の嘔吐をきたすことは通常ありません。
なお、吐血と喀血の区別も重要です。吐血は暗赤色から黒褐色で酸性、食物残渣が混じり、喀血は鮮紅色で泡沫状、アルカリ性です。
選択肢の確認
1.クローン病
誤り。回腸末端に好発し、腹痛と下痢が主症状です。
2.胃癌
正しい。上部消化管からの出血によりコーヒー残渣様の嘔吐をきたします。
3.大腸癌
誤り。下部消化管の疾患で、血便として現れます。
4.潰瘍性大腸炎
誤り。粘血便と下痢が主症状です。
覚えるポイント
- コーヒー残渣様の吐血=上部消化管出血(胃酸で塩酸ヘマチンに変化)。
- 上部消化管出血=コーヒー残渣様の吐血と黒色便(タール便)。下部消化管=鮮血便、粘血便。
- 吐血は暗赤色で酸性、喀血は鮮紅色で泡沫状・アルカリ性。