19AM78|第19回 はり師・きゅう師国家試験 過去問
次の文で示す症例について、問いに答えよ。8歳の男児。サッカー中に前方へ転倒、肘をついて倒れた。直後から右肘の疼痛、運動障害があり、次第に腫脹も強くなってきた。明らかな皮膚の外傷はない。発育期に転倒により起こりやすい骨折はどれか。
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正解: 2
正答
2
この問題のポイント
小児の肘周辺の骨折を問う問題です。発育期に転倒で最も多い骨折はどれかを答えます。
解説
上腕骨顆上骨折は、小児の肘関節周辺で最も頻度の高い骨折です。したがって正答は2です。
受傷機転は、転倒して手をついた際に肘が過伸展され、上腕骨の顆上部(遠位骨幹端で骨が薄くなっている部位)に折れる力が加わることによります。多くは伸展型で、遠位骨片が後方へ転位します。5歳から10歳前後に好発し、この年齢では顆上部の骨皮質が薄いことが背景にあります。
臨床上、合併症が重要です。
第一に、フォルクマン拘縮(阻血性拘縮)です。骨折部の腫脹や血腫、包帯やギプスによる圧迫により、前腕屈筋群の区画内圧が上昇し、血流障害から筋が壊死・線維化して、手指が屈曲位に拘縮する重篤な後遺症です。前駆症状として5つのP、すなわち**疼痛(Pain)、蒼白(Pallor)、脈拍消失(Pulselessness)、感覚異常(Paresthesia)、麻痺(Paralysis)**があり、これらを認めたら緊急の処置が必要です。
第二に、神経損傷です。正中神経(特に前骨間神経)、橈骨神経、尺骨神経が損傷されることがあります。
第三に、内反肘です。骨癒合後に肘が内側に変形するもので、整復位が不十分な場合に生じ、遅発性の尺骨神経麻痺の原因にもなります。
他の選択肢を確認します。上腕骨近位端骨折は高齢者の転倒で多くみられます。肘頭骨折は肘を直接打ったときに生じますが、小児では多くありません。**コーレス骨折(橈骨遠位端骨折の伸展型)**は、転倒して手をついて生じる骨折として非常に多いものの、**高齢の女性(骨粗鬆症)**に典型的であり、フォーク状変形を呈します。
選択肢の確認
1.上腕骨近位端骨折
誤り。高齢者の転倒で多くみられます。
2.上腕骨顆上骨折
正しい。小児の肘周辺で最も頻度の高い骨折です。
3.肘頭骨折
誤り。肘を直接打って生じますが小児では多くありません。
4.コーレス骨折
誤り。高齢女性に典型的な橈骨遠位端骨折です。
覚えるポイント
- 上腕骨顆上骨折=小児の肘、転倒して手をつく、伸展型が多い。
- 合併症=フォルクマン拘縮(5つのP)、神経損傷、内反肘。
- コーレス骨折=高齢女性、橈骨遠位端、フォーク状変形。上腕骨近位端骨折=高齢者の転倒。