19AM79|第19回 はり師・きゅう師国家試験 過去問
次の文で示す症例について、問いに答えよ。78歳の男性。5年前に高血圧を指摘されたが、自覚症状がないため放置していた。早朝、安静時に突然強い胸背部痛が出現し、救急搬送された。その際には胸部エックス線検査で上縦隔の著明な拡大を認めたが、心電図上有意な変化はみられなかった。本疾患の診断のため、直ちに施行すべき検査はどれか。
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正解: 3
正答
3
この問題のポイント
突然の胸背部痛と上縦隔の拡大から疾患を推定し、直ちに行うべき検査を選ぶ症例問題です。
解説
78歳の男性で、次の所見がそろっています。長年の高血圧を放置、早朝の安静時に突然出現した強い胸背部痛、胸部エックス線写真で上縦隔の著明な拡大、心電図に有意な変化なし。
この組合せから最も強く疑われるのは急性大動脈解離です。理由は次のとおりです。
大動脈解離は、大動脈の内膜が裂けて中膜内に血液が流入し、大動脈壁が二層に剥がれていく病態です。最大の危険因子は高血圧であり、そのほかマルファン症候群などの結合組織疾患、動脈硬化が関与します。
症状の特徴は、突然発症する、引き裂かれるような激烈な胸背部痛で、解離の進展に伴って痛みが移動することがあります。左右の血圧差や脈拍の左右差を認めることがあり、これは分枝の閉塞を示唆します。
胸部エックス線写真では、**縦隔陰影の拡大(上縦隔の拡大)**がみられます。設問の所見はこれに一致します。
心電図に有意な変化がないという点も重要です。同じく突然の胸痛をきたす急性心筋梗塞では、STの上昇や異常Q波といった変化が現れるため、これがないことは心筋梗塞に否定的な情報となります(ただし解離が冠動脈に及べば心筋梗塞を合併します)。
診断を確定するために**直ちに行うべき検査は、造影CT(胸腹部造影CT)**です。解離の存在、内膜フラップと偽腔、解離の範囲、分枝への進展、心嚢液の有無を短時間で評価でき、治療方針(緊急手術か内科的治療か)の決定に直結します。したがって正答は3です。緊急時には経食道心エコーも用いられます。
他の選択肢を確認します。24時間ホルター心電図は不整脈の評価に用いるもので、緊急性のあるこの場面には適しません。運動負荷心筋シンチは虚血性心疾患の評価に用いますが、大動脈解離が疑われる患者に運動負荷をかけることは極めて危険です。気管支内視鏡は気道と肺の病変の評価に用いるもので、この病態には適しません。
選択肢の確認
1.24時間ホルター心電図
誤り。不整脈の評価であり、緊急の場面には適しません。
2.運動負荷心筋シンチ
誤り。大動脈解離が疑われる状況で運動負荷は極めて危険です。
3.胸腹部造影CT
正しい。解離の範囲と分枝への進展を短時間で評価できます。
4.気管支内視鏡
誤り。気道と肺の病変の評価に用いる検査です。
覚えるポイント
- 急性大動脈解離=高血圧が最大の危険因子、突然の引き裂かれるような胸背部痛、痛みの移動、血圧の左右差。
- 画像=胸部エックス線で縦隔拡大、確定診断は造影CT。
- 突然の激しい胸背部痛は心筋梗塞、大動脈解離、肺塞栓症、気胸を念頭に緊急受診を勧める。