19PM121|第19回 はり師・きゅう師国家試験 過去問
五更泄瀉に対する治療方針で適切なのはどれか。
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正解: 4
正答
4
この問題のポイント
五更泄瀉という用語から病証を導く問題です。いつ下痢が起こるかという時間帯が決め手です。
解説
五更泄瀉は、明け方(五更、およそ午前3時から5時ごろ)に起こる下痢をいい、鶏鳴瀉、腎瀉とも呼ばれます。
この時間帯は一日のうちで最も陽気が弱く、陰気が盛んな時です。**腎陽(命門の火)**が不足していると、この時間帯に体を温め、脾の運化を助ける力が最も乏しくなり、下痢を生じます。
したがって病態は**腎陽虚(命門火衰)であり、治療方針は腎陽を補って温める(温補腎陽)**ことになります。正答は4です。取穴では、腎兪、命門、関元、気海、脾兪、天枢、足三里、太渓、大腸兪などを用い、灸を積極的に併用します。
五更泄瀉に伴う症状としては、腹痛は軽く、下痢の後に痛みが軽減する、腰や膝がだるく力が入らない、手足の冷え、寒がり、夜間頻尿、舌質は淡で舌苔は白、脈は沈細などがみられます。高齢者に多くみられる病態です。
他の選択肢を確認します。
肝血を補うのは、肝血虚に対する方針です。眼精疲労、目のかすみ、手足のしびれ、こむら返り、爪のもろさ、めまい、経血の減少などがみられる場合に用います。
心陰を補うのは、心陰虚に対する方針です。動悸、不眠、健忘、五心煩熱、盗汗などがみられる場合に用います。
肺気を補うのは、肺気虚に対する方針です。息切れ、声に力がない、自汗、風邪をひきやすい、咳に力がないなどがみられる場合に用います。
下痢を病証別に整理すると、脾気虚では食後に悪化する軟便、肝気乗脾ではストレスで悪化し便秘と交代する、湿熱では悪臭が強く肛門に灼熱感を伴う、食滞では腐ったにおいのげっぷを伴う、腎陽虚では五更泄瀉となります。この対応を押さえておくと臨床でも役立ちます。
選択肢の確認
1.肝血を補う。
誤り。肝血虚に対する方針で、眼や筋の症状に用います。
2.心陰を補う。
誤り。心陰虚に対する方針で、動悸や不眠に用います。
3.肺気を補う。
誤り。肺気虚に対する方針で、息切れや自汗に用います。
4.腎陽を補う。
正しい。五更泄瀉は腎陽虚(命門火衰)によります。
覚えるポイント
- 五更泄瀉(鶏鳴瀉)=明け方の下痢=腎陽虚(命門火衰)。方針は温補腎陽。
- 伴う症状=腰膝のだるさ、手足の冷え、夜間頻尿、舌淡白苔、沈細脈。
- 下痢の鑑別=脾気虚、肝気乗脾、湿熱、食滞、腎陽虚。