19PM123|第19回 はり師・きゅう師国家試験 過去問
次の文で示す患者の病証について治療対象となる経脈で適切なのはどれか。「30歳の男性。半年前から便秘が続く。偏食傾向があり辛い物をよく食べる。腹部膨満感があり口臭も強い。舌質は紅、脈は滑実。」
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正解: 2
正答
2
この問題のポイント
便秘を実熱としてとらえる症例問題です。食生活、口臭、舌脈の3つがすべて同じ方向を指しています。
解説
30歳の男性で、次の所見があります。
半年前から便秘が続くという主訴です。便秘は虚実いずれでも起こるため、他の所見で振り分けます。
偏食傾向があり辛い物をよく食べるという点です。辛味と温熱性の食物の過食は、胃腸に熱を生じさせます。これが最も明確な病因の手がかりです。
腹部膨満感があり口臭も強いという点です。腹部の膨満は腸内容の停滞を、**強い口臭は胃熱(胃火)**を示します。胃の熱が上に上がることで口臭が生じます。
舌質は紅で熱を、脈は滑実で痰湿や食滞と実証を示します。いずれも実熱を裏づける所見です。
これらを総合すると、胃腸の実熱(胃熱、腸燥)による便秘と判断できます。熱が腸の津液を消耗させ、便が乾いて硬くなり排出されにくくなった状態です。したがって治療対象となる経脈は足の陽明胃経であり、正答は2です。
取穴では、胃経の足三里、上巨虚(大腸の下合穴)、内庭(滎水穴で清熱に優れる)、天枢(大腸の募穴)、さらに支溝、大腸兪、合谷、曲池などを用い、瀉法を行います。あわせて、辛い物や脂っこい物を控え、水分と食物繊維をとるという食生活の指導が重要になります。
他の選択肢を確認します。
肺経は、肺に属し気と呼吸を主る経脈です。肺と大腸は表裏をなすため、肺気の粛降が失調して便秘を生じることもありますが、本症例で明確に示されているのは食生活と胃熱であり、胃経がより適切です。
小腸経は、小腸に属し受盛化物と泌別清濁に関わりますが、便通の実熱を直接扱う経脈としては胃経に劣ります。
膀胱経は、膀胱に属し、背部兪穴を含むため大腸兪などを用いることはありますが、病因として示された胃熱を直接扱う経脈ではありません。
便秘の弁証を整理すると、実熱(熱秘)は本症例のように口臭、腹満、舌紅、脈滑実、気滞(気秘)はストレスとげっぷ、脇肋の張り、脈弦、気虚(虚秘)は排便に力が入らず疲れる、血虚は便が乾燥し顔色が悪い、陽虚(冷秘)は腹の冷えと温めると軽減となります。
選択肢の確認
1.肺経
誤り。肺と大腸は表裏ですが、示された病因は胃熱です。
2.胃経
正しい。辛い物の過食による胃腸の実熱を扱う経脈です。
3.小腸経
誤り。便通の実熱を扱う経脈としては適しません。
4.膀胱経
誤り。病因として示された胃熱を直接扱う経脈ではありません。
覚えるポイント
- 辛い物の過食+口臭+腹満+舌紅+滑実脈=胃腸の実熱(熱秘)。
- 取穴=内庭(清熱)、足三里、上巨虚、天枢、支溝、合谷を瀉法。食生活の指導も併せて行う。
- 便秘の弁証=熱秘、気秘、虚秘(気虚と血虚)、冷秘(陽虚)。