19PM124|第19回 はり師・きゅう師国家試験 過去問
次の文で示す患者の病態に古代刺法を適用する場合、適切なのはどれか。「70歳の男性。脈の不整と共に動悸、息切れを自覚するようになった。」
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正解: 2
正答
2
この問題のポイント
**十二刺(古代刺法)**の適応を問う症例問題です。心の病に用いる刺法はどれかを選びます。
解説
70歳の男性で、脈の不整とともに動悸、息切れを自覚するようになったという症例です。動悸と脈の不整は心の病を示し、東洋医学では心痺あるいは心悸、怔忡としてとらえられます。
十二刺は『霊枢』官鍼篇に記された12種類の刺法で、それぞれ適応となる病態が定められています。
偶刺は、心痺に対して用いる刺法です。方法は、一方の手を胸に、もう一方の手を背に当てて、痛むところ(圧痛点)を探り、前後から挟むように直刺するというものです。胸と背から一対(偶)で刺すことからこの名があります。設問の心の病に適用する刺法として正答は2です。実際の取穴でも、胸部の膻中や巨闕と、背部の心兪や厥陰兪を組み合わせるという、いわゆる兪募配穴の考え方に通じます。
他の選択肢を確認します。
短刺は、骨痺に対して用いる刺法です。鍼を少しずつ揺らしながら深く骨の近くまで刺入し、骨をこするように上下させます。
陰刺は、**寒厥(手足の冷え)**に対して用いる刺法で、左右両側に刺すものです。足の少陰腎経の太渓を用いるとされます。
浮刺は、筋が寒によって急に拘縮した状態に対して用いる刺法で、患部の傍らから斜めに浅く刺入します。
その他の十二刺として、**恢刺(筋痺、関節近くの腱に刺し鍼を動かす)、報刺(遊走する痛み、抜いてまた刺す)、斉刺(三鍼、範囲が狭く深い痺)、揚刺(五鍼、寒気が広く浅い)、直針刺(皮膚をつまみ上げて浅く刺す)、輸刺(まっすぐ深く刺しまっすぐ抜く、気盛んで熱あるもの)、傍針刺(正刺と傍刺、留痺)、賛刺(浅く速く何度も刺し出血させる、癰腫)**があります。
なお、動悸と脈の不整を訴える70歳の患者では、不整脈や心不全、虚血性心疾患といった現代医学的な評価が必要であり、医療機関の受診を勧めたうえで施術を行う姿勢が求められます。
選択肢の確認
1.短刺
誤り。骨痺に対して骨の近くまで刺入する刺法です。
2.偶刺
正しい。心痺に対し、胸と背から前後に挟んで刺す刺法です。
3.陰刺
誤り。寒厥に対して左右両側に刺す刺法です。
4.浮刺
誤り。寒による筋の拘縮に対して斜めに浅く刺す刺法です。
覚えるポイント
- 偶刺=心痺、胸と背から前後に挟んで刺す。兪募配穴の考え方に通じる。
- 短刺=骨痺、恢刺=筋痺、陰刺=寒厥、浮刺=寒による筋の拘縮、賛刺=癰腫。
- 動悸と脈の不整では心疾患の評価を医療機関に委ねたうえで施術する。