19PM132|第19回 はり師・きゅう師国家試験 過去問
次の文で示す患者の罹患神経を対象として刺鍼する場合、適切な局所治療穴はどれか。「50歳の男性。右足底全体に痛みと焼けるようなピリピリした感覚がある。足背に症状はみられない。夜間痛があり、ティネル徴候陽性。」
解答・解説を見る
正解: 2
正答
2
この問題のポイント
足底の症状から罹患神経を特定し、その走行上の経穴を選ぶ症例問題です。足背に症状がないことが決め手になります。
解説
50歳の男性で、次の所見があります。
右足底全体に痛みと焼けるようなピリピリした感覚があります。足底の知覚を支配するのは、脛骨神経の枝である内側足底神経と外側足底神経です。
足背に症状はみられないという点が重要です。足背の知覚は主に浅腓骨神経(および第1・第2趾間は深腓骨神経)が支配します。ここに症状がないということは、腓骨神経は障害されておらず、脛骨神経のみが障害されていることを示します。この情報により、腰椎椎間板ヘルニアによる神経根症や総腓骨神経麻痺が否定的となります。
夜間痛があり、ティネル徴候陽性です。ティネル徴候は、神経の絞扼部位を叩打すると、その支配領域に放散痛やしびれが生じる所見で、絞扼性神経障害を示します。夜間痛も絞扼性神経障害に特徴的です。
これらを総合すると、**足根管症候群(脛骨神経の絞扼)**が最も考えられます。足根管は、内果の後下方で、屈筋支帯の下にできるトンネルで、後脛骨筋腱、長趾屈筋腱、長母趾屈筋腱、後脛骨動静脈、脛骨神経が通ります。ここで脛骨神経が圧迫されると、足底の痛み、しびれ、灼熱感を生じます。
さて設問は、罹患神経(脛骨神経)を対象として刺鍼する場合の局所治療穴を問うています。選択肢の中で脛骨神経の走行上にあるのは委中です。委中は、膝後面、膝窩横紋の中点にあり、この膝窩の部を脛骨神経と膝窩動静脈が走行します。したがって正答は2です。刺鍼にあたっては、膝窩動脈の拍動を確認し、深刺を避ける配慮が必要です。なお、足根管そのものに対しては太渓、照海、水泉、然谷などが局所として用いられます。
他の選択肢を確認します。浮郄は、膝後外側、大腿二頭筋腱の内側縁、委陽の上方1寸にあり、脛骨神経の主幹ではありません。陽陵泉は、下腿外側、腓骨頭前下方の陥凹部にあり、総腓骨神経が腓骨頸を回る部位に近く、腓骨神経に対する治療点です。足三里は、下腿前外側にあり、深腓骨神経の支配する前脛骨筋の部です。
選択肢の確認
1.浮郄
誤り。膝後外側にあり、脛骨神経の主幹の走行上ではありません。
2.委中
正しい。膝窩を脛骨神経が走行します。
3.陽陵泉
誤り。総腓骨神経が腓骨頸を回る部位で、腓骨神経の治療点です。
4.足三里
誤り。深腓骨神経が支配する前脛骨筋の部です。
覚えるポイント
- 足底の知覚=脛骨神経(内側・外側足底神経)、足背=浅腓骨神経。症状の分布で神経を絞る。
- 足根管症候群=内果後下方での脛骨神経の絞扼。足底の痛みとしびれ、夜間痛、ティネル徴候陽性。
- 脛骨神経は膝窩(委中)を走行。刺鍼では膝窩動脈に注意。