19PM133|第19回 はり師・きゅう師国家試験 過去問
次の文で示す患者について、問いに答えよ。「40歳の女性。左手関節橈側に痛みがある。フライパンを使って調理する際に痛みが増強する。頸部や肩関節の動きでの増悪はない。疼痛部の知覚異常はみられない。」最も考えられる疾患はどれか。
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正解: 3
正答
3
この問題のポイント
手関節橈側の痛みを鑑別する症例問題です。知覚異常がないことと頸部や肩で誘発されないことが絞り込みの鍵です。
解説
40歳の女性で、次の所見があります。
左手関節橈側に痛みがあるという部位の情報です。手関節の橈側(母指側)には、橈骨茎状突起があり、その部を長母指外転筋腱と短母指伸筋腱が第1区画の腱鞘の中を通ります。
フライパンを使って調理する際に痛みが増強するという点です。フライパンを持ち上げて操作する動作は、母指を使って把持しながら手関節を尺屈させる動きを含み、まさに長母指外転筋腱と短母指伸筋腱に強い牽引力が加わります。同様に、手を使う家事や育児(乳児の抱き上げ)、キーボード操作でも誘発されます。
頸部や肩関節の動きでの増悪はないという点です。もし頸椎神経根症や胸郭出口症候群であれば、頸部の運動や上肢の肢位によって症状が変化するはずです。これがないことで、近位(頸部や胸郭出口)の障害は否定的となります。
疼痛部の知覚異常はみられないという点です。手根管症候群であれば、正中神経領域(母指から環指橈側半の掌側)のしびれが生じるはずです。知覚異常がないということは、神経の障害ではなく、腱と腱鞘の障害であることを示します。
これらを総合すると、**ドケルバン病(狭窄性腱鞘炎、ド・ケルバン腱鞘炎)**が最も考えられ、正答は3です。橈骨茎状突起部の腫脹と圧痛を認め、アイヒホッフテスト(母指を握り込んで手関節を尺屈させる)やフィンケルシュタインテストが陽性となります。妊娠出産期や更年期の女性、手を酷使する人に多くみられます。
他の選択肢を確認します。頸椎神経根症は、頸部の運動で症状が誘発され、デルマトームに沿った知覚障害と筋力低下を伴います。胸郭出口症候群は、上肢の挙上や牽引で症状が変化し、しびれや脱力を伴います。手根管症候群は、正中神経領域のしびれ、夜間の増悪、ファレンテストとティネル徴候陽性、進行すると母指球の萎縮を伴います。
選択肢の確認
1.頸椎神経根症
誤り。頸部の運動で誘発され、知覚障害を伴います。
2.胸郭出口症候群
誤り。上肢の肢位で症状が変化し、しびれを伴います。
3.ドケルバン病
正しい。橈骨茎状突起部の腱鞘炎で、知覚異常を伴いません。
4.手根管症候群
誤り。正中神経領域のしびれを伴います。
覚えるポイント
- ドケルバン病=橈骨茎状突起部、長母指外転筋腱と短母指伸筋腱の狭窄性腱鞘炎。
- 検査=アイヒホッフテスト、フィンケルシュタインテスト。妊娠出産期や更年期の女性に多い。
- 知覚異常がなければ神経ではなく腱の障害。頸部や肩で誘発されなければ近位の障害を除外できる。