19PM136|第19回 はり師・きゅう師国家試験 過去問
次の文で示す患者について、問いに答えよ。「27歳の女性。月経が始まる数日前から頭痛やめまいが起こり、乳房に脹痛がある。不安やイライラがあるが月経開始と共に症状は消失する。不正性器出血や病的帯下はみられない。舌質は淡紅、舌苔は厚、脈は弦。」病証に基づいた治療方針で最も適切なのはどれか。
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正解: 1
正答
1
この問題のポイント
前問と同じ症例について、病証に基づく治療方針を答える問題です。乳房の脹痛と弦脈が決め手です。
解説
27歳の女性で、月経前の頭痛とめまい、乳房の脹痛、不安とイライラがあり、舌質は淡紅、舌苔は厚、脈は弦です。
東洋医学的に読み解きます。
乳房の脹痛が重要な手がかりです。乳房は足の厥陰肝経が通り、また肝経は乳頭をめぐるとされます。「脹痛(張った痛み)」は気の停滞を示す痛みの性質であり、肝気鬱結を強く示唆します。刺すような痛み(刺痛)であれば瘀血、しくしくと鈍い痛み(隠痛)であれば虚を示すため、痛みの性質を読み取ることが弁証の要です。
不安とイライラは、肝の疏泄が失調して情志が調わない状態を示します。肝は疏泄を主り、気機と情志を調節します。
頭痛とめまいは、滞った気が上に突き上げること(肝気上逆)によって生じます。
脈が弦であることは、肝胆の病、気滞、疼痛を示す決定的な所見です。
以上から、病証は**肝気鬱結(気滞)であり、治療方針は滞った気を巡らせて発散させること、すなわち気滞を除く(疏肝理気)**ことになります。正答は1です。取穴では、太衝(肝経の原穴)、期門(肝の募穴)、肝兪、陽陵泉、膻中(気会)、内関、合谷、三陰交などを用い、太衝と合谷を組み合わせた四関穴が気を巡らせる代表的な配穴です。
他の選択肢を確認します。
湿熱を除くのは、身体の重だるさ、粘る帯下、口の粘り、黄膩苔、滑数脈といった湿熱の所見がある場合の方針です。舌苔が厚いことは湿の存在を示しますが、症状の中心は気滞です。
陽気を補うのは、冷え、寒がり、四肢の冷感、水様便といった陽虚の所見がある場合の方針です。
肝血を補うのは、目の乾燥やかすみ、手足のしびれ、こむら返り、爪のもろさ、舌質淡、脈細といった肝血虚の所見がある場合の方針です。本症例は**脈が弦(実の傾向)**であり、細脈ではないため当てはまりません。
選択肢の確認
1.気滞を除く。
正しい。乳房の脹痛と弦脈から肝気鬱結と判断できます。
2.湿熱を除く。
誤り。湿熱を示す黄膩苔や滑数脈の所見がありません。
3.陽気を補う。
誤り。冷えなどの陽虚の所見がありません。
4.肝血を補う。
誤り。肝血虚を示す細脈や目の症状がありません。
覚えるポイント
- 乳房は肝経がめぐる。月経前の乳房の脹痛+イライラ+弦脈=肝気鬱結。
- 痛みの性質=脹痛は気滞、刺痛は瘀血、隠痛は虚。
- 方針は疏肝理気。太衝、期門、肝兪、陽陵泉、膻中、四関穴(合谷と太衝)。