19PM139|第19回 はり師・きゅう師国家試験 過去問
次の文で示す患者について、問いに答えよ。「56歳の男性。半年前から右肩関節の痛みが出現した。肩のエックス線検査では異常はない。1か月から夜間痛はなくなり、肩関節の外転、外旋時に軽度の痛みが出現する。肩甲上腕リズムの異常が著明である。スピードテスト陰性、ドロップアームサイン陰性。」最も考えられる疾患はどれか。
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正解: 3
正答
3
この問題のポイント
肩関節痛の鑑別を行う症例問題です。陰性となった検査が何を否定しているかを読み取ります。
解説
56歳の男性で、次の所見があります。
半年前から右肩関節の痛みがあり、エックス線検査では異常なし、1か月ほど前から夜間痛はなくなった、肩関節の外転と外旋時に軽度の痛み、肩甲上腕リズムの異常が著明、スピードテスト陰性、ドロップアームサイン陰性。
一つずつ読み解きます。
エックス線検査で異常なしにより、石灰沈着性腱板炎が否定されます。石灰沈着性腱板炎では、腱板内(多くは棘上筋腱)に石灰の沈着がエックス線で描出されます。急性期には夜間から明け方に突然始まる激烈な痛みが特徴で、肩を動かせなくなります。
スピードテスト陰性により、上腕二頭筋長頭腱炎が否定的となります。スピードテストは、肘伸展・前腕回外位で抵抗に抗して肩を屈曲させ、結節間溝の痛みをみる検査です。ヤーガソンテストも同様の目的で用いられます。
ドロップアームサイン陰性により、腱板断裂が否定的となります。ドロップアームサインは、他動的に外転90度に挙上した上肢を保持できずに落下する所見で、棘上筋腱の断裂を示します。
残るのがいわゆる五十肩(肩関節周囲炎)であり、正答は3です。経過も一致します。半年前から発症し、夜間痛が消失して1か月という経過は、疼痛期(炎症期)を過ぎて拘縮期(凍結期)に入ったことを示します。この時期は痛みが軽減する一方、可動域制限が前面に出るのが特徴です。外転と外旋の制限は肩関節周囲炎の典型で、結髪動作が困難になります。そして肩甲上腕リズムの異常が著明であることは、肩甲上腕関節の動きが制限され、その分を肩甲骨の動きが代償していることを意味し、拘縮の存在を裏づけます。
施術では、拘縮期には関節可動域訓練、温熱、周囲筋の緊張緩和を組み合わせ、無理な強い伸張は避けます。
選択肢の確認
1.石灰沈着性腱板炎
誤り。エックス線で石灰沈着が描出されるはずです。
2.上腕二頭筋長頭腱炎
誤り。スピードテストが陰性であり否定的です。
3.いわゆる五十肩
正しい。拘縮期の経過と可動域制限、肩甲上腕リズムの異常に一致します。
4.腱板断裂
誤り。ドロップアームサインが陰性であり否定的です。
覚えるポイント
- 肩関節周囲炎=疼痛期→拘縮期→回復期。拘縮期は夜間痛が軽減し可動域制限が主体。
- スピードテストとヤーガソンテスト=上腕二頭筋長頭腱炎、ドロップアームサイン=腱板断裂。
- 石灰沈着性腱板炎はエックス線で石灰が描出される。陰性所見が何を否定するかを読み取る。