19PM140|第19回 はり師・きゅう師国家試験 過去問
次の文で示す患者について、問いに答えよ。「56歳の男性。半年前から右肩関節の痛みが出現した。肩のエックス線検査では異常はない。1か月から夜間痛はなくなり、肩関節の外転、外旋時に軽度の痛みが出現する。肩甲上腕リズムの異常が著明である。スピードテスト陰性、ドロップアームサイン陰性。」疼痛軽減を目的とした局所治療穴で適切なのはどれか。
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正解: 2
正答
2
この問題のポイント
前問の拘縮期の肩関節周囲炎に対し、どこを狙うかを考える問題です。制限されている運動方向から施術部位を導きます。
解説
本症例は、肩関節の外転と外旋時に痛みが出現し、肩甲上腕リズムの異常が著明な拘縮期の肩関節周囲炎です。
外転と外旋の制限が生じているとき、拘縮の中心となるのは肩関節の後方と下方の関節包、および**後方の腱板(棘下筋、小円筋)**です。とくに後方の軟部組織が硬くなると、外旋と挙上が制限され、肩甲上腕関節の動きが減った分を肩甲骨が代償するため、リズムが破綻します。
したがって、肩関節の後方にある経穴を局所治療穴として選びます。
臑兪は、肩後部、腋窩横紋後端の上方、肩甲棘の下方陥凹部にある手の太陽小腸経の経穴です。この部位は棘下筋と小円筋、および三角筋後部にあたり、まさに拘縮している後方の軟部組織に対応します。したがって正答は2です。あわせて、天宗(棘下窩の中央、棘下筋上)、肩貞、秉風、肩髃、肩髎、曲垣なども用いられます。
他の選択肢を確認します。
中府は、前胸部、第1肋間、前正中線の外方6寸にある手の太陰肺経の経穴で、肺の募穴です。肩関節の前面より内側の前胸部にあたり、後方の拘縮を狙う部位ではありません。また、深刺による気胸に注意を要する部位でもあります。
天泉は、上腕前面、上腕二頭筋の長頭と短頭の間、腋窩横紋前端の下方2寸にある手の厥陰心包経の経穴です。上腕二頭筋の部にあたり、上腕二頭筋長頭腱炎であれば適応となりますが、本症例ではスピードテストが陰性であり、この病態は否定的です。また上腕動脈が走行するため注意を要します。
肘髎は、肘後外側、上腕骨外側上顆の上縁、外側顆上稜の前縁にある手の陽明大腸経の経穴です。肘関節の部位であり、肩の局所ではありません。上腕骨外側上顆炎などに用いられます。
選択肢の確認
1.中府
誤り。前胸部にあり、後方の拘縮を狙う部位ではありません。
2.臑兪
正しい。肩後部にあり、棘下筋や小円筋など後方の軟部組織に対応します。
3.天泉
誤り。上腕二頭筋の部で、本症例では否定的な病態に対応します。
4.肘髎
誤り。肘関節の部位であり肩の局所ではありません。
覚えるポイント
- 外転と外旋の制限=肩関節後方と下方の関節包、棘下筋と小円筋の拘縮。
- 肩後部の経穴=臑兪、天宗、肩貞、秉風、曲垣(いずれも小腸経が中心)。
- 中府は気胸、天泉は上腕動脈に注意。病期に応じて施術内容を変える。