19PM145|第19回 はり師・きゅう師国家試験 過去問
低周波鍼通電療法について誤っている記述はどれか。
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正解: 2
正答
2
この問題のポイント
低周波鍼通電療法の安全管理を問う問題です。なぜ直流電流を使わないのかが核心です。
解説
各選択肢を検討します。
心臓を挟む形での電極配置を避けることは正しい記述です。通電経路が心臓を横切ると、心臓の刺激伝導系に影響を与え、不整脈を誘発する危険があります。そのため、左右の胸部を挟む配置や、上肢と対側の上肢、上肢と対側の下肢を結ぶような配置は避け、同側の身体の部位どうしで通電するのが原則です。あわせて、心臓ペースメーカーや植込み型除細動器を装着している患者には行わないこと、頸部や頭部、眼周囲での通電は慎重に行うことも重要な原則です。
折鍼を予防するため直流電流を用いるという記述は誤りであり、これが正答です。直流電流を用いると、電気分解(電解)が起こり、鍼体が腐食して脆くなり、かえって折鍼の危険が高まります。また、皮膚に電気化学的な損傷(電解による組織の変化)を生じるおそれもあります。そのため、鍼通電療法では**直流ではなく、パルス波(断続する交流に相当する波形)**を用います。折鍼の予防には、鍼体に傷や曲がりのない鍼を使う、単回使用鍼を用いる、鍼体を根元まで刺入しない(鍼柄との境目に応力が集中するため)、強い手技を避ける、通電中に患者を動かさないといった配慮が有効です。
通電波形は短形波と棘状波があるは正しい記述です。**矩形波(短形波)**は一定時間電圧が加わる方形の波、**棘状波(スパイク波)**は瞬間的に鋭く立ち上がる波であり、いずれも鍼通電装置で用いられます。
電極としてステンレス鍼を用いるも正しい記述です。ステンレス鍼は電気分解による溶出が起こりにくく、通電に適します。一方、金鍼や銀鍼は電気分解により溶けやすく、通電には適しません。
なお、通電の周波数による使い分けも重要です。低頻度(1から5ヘルツ)は内因性オピオイド系を賦活し、遅効性だが持続の長い鎮痛をもたらし、高頻度(50から100ヘルツ)はゲートコントロール的な速効性だが持続の短い鎮痛をもたらします。
選択肢の確認
1.心臓を挟む形での電極配置を避ける。
正しい記述。不整脈の誘発を防ぐための原則です。
2.折鍼を予防するため直流電流を用いる。
誤っている記述であり、これが正答。直流は電気分解により鍼を腐食させます。
3.通電波形は短形波と棘状波がある。
正しい記述。いずれも鍼通電装置で用いられます。
4.電極としてステンレス鍼を用いる。
正しい記述。電気分解による溶出が少なく通電に適します。
覚えるポイント
- 直流は用いない。電気分解で鍼が腐食し折鍼の危険が高まる。パルス波を用いる。
- ステンレス鍼を用いる。金鍼と銀鍼は電気分解で溶けやすい。
- 安全管理=心臓を挟まない、ペースメーカー装着者には行わない、頸部と頭部は慎重に。