19PM149|第19回 はり師・きゅう師国家試験 過去問
下行性痛覚抑制系に関係するのはどれか。
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正解: 2
正答
2
この問題のポイント
下行性痛覚抑制系が脊髄内のどこを下行するかを問う問題です。上行路や自律神経の部位と区別します。
解説
下行性痛覚抑制系は、脳から脊髄へ向かって痛みの伝達を抑える仕組みです。経路は次のとおりです。
出発点は**中脳の中心灰白質(PAG)**です。ここが活性化されると、下行して2つの経路に分かれます。**延髄の大縫線核(縫線核群)**を経由してセロトニンを放出する経路と、橋の青斑核などを経由してノルアドレナリンを放出する経路です。
これらの下行性線維は、脊髄の背側部(背外側索)を下行して、脊髄後角に至り、そこで一次求心性線維からの伝達物質の放出を抑え、二次ニューロンの興奮を抑制します。その結果、痛みの信号が上位へ伝わりにくくなります。選択肢の中でこの経路に該当するのは脊髄背側索であり、正答は2です。
他の選択肢を確認します。
海馬は、側頭葉の内側にある部位で、**記憶(特に近時記憶の形成)**に関わります。アルツハイマー型認知症で早期に萎縮する部位として知られますが、痛覚抑制系の経路ではありません。
内側毛帯は、延髄の後索核で乗り換えた二次ニューロンが交叉した後に上行する経路で、識別性触圧覚と深部感覚を視床へ伝えます。上行性の感覚路であり、下行性の抑制系ではありません。
脊髄灰白質中間質は、脊髄灰白質のうち前角と後角の間の部分で、ここには**側角(中間外側核)が含まれます。側角には交感神経の節前ニューロン(T1からL2)と、仙髄では副交感神経の節前ニューロン(S2からS4)**が存在します。自律神経の起始部であり、痛覚抑制系の下行路ではありません。
なお、下行性痛覚抑制系は、内因性オピオイドとともに鍼灸による鎮痛の主要な機序の一つです。鍼刺激により細径線維が興奮すると、この系が賦活され、脊髄後角での痛覚伝達が抑制されます。
選択肢の確認
1.海馬
誤り。記憶に関わる部位です。
2.脊髄背側索
正しい。下行性痛覚抑制系の線維が下行し、脊髄後角に至ります。
3.内側毛帯
誤り。識別性触圧覚と深部感覚を伝える上行路です。
4.脊髄灰白質中間質
誤り。自律神経の節前ニューロンが存在する部位です。
覚えるポイント
- 下行性痛覚抑制系=中脳中心灰白質→大縫線核(セロトニン)と青斑核(ノルアドレナリン)→脊髄の背側部を下行→後角。
- 内側毛帯は上行路(深部感覚)、脊髄灰白質中間質(側角)は自律神経の節前ニューロン。
- 鍼鎮痛の機序=内因性オピオイド、下行性痛覚抑制系、ゲートコントロール、広汎性侵害抑制調節。