19PM153|第19回 はり師・きゅう師国家試験 過去問
知熱灸を行う上で熱刺激の調節に最も注意を必要とするのはどれか。
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正解: 1
正答
1
この問題のポイント
施灸のリスクが高い基礎疾患を問う問題です。熱さを感じられるか、傷が治るかという2点で考えます。
解説
知熱灸は、患者が熱さを感じた時点で艾を取り除く灸法です。したがって、患者からの申告を目安に中止することが前提となっており、熱さを正しく感じられない患者では熱傷の危険が高まります。
糖尿病の患者では、次の3つの理由から、熱刺激の調節に最も注意を要します。したがって正答は1です。
第一に、知覚低下です。糖尿病性多発神経障害により、両側性・対称性に、下肢の遠位から感覚が鈍くなります。振動覚の低下とアキレス腱反射の減弱が早期からみられます。熱さを感じにくいため、熱傷に気づくのが遅れます。
第二に、血流障害です。細小血管障害に加え、動脈硬化による末梢動脈疾患により、下肢の血流が低下します。そのため、傷が治りにくくなります。
第三に、易感染性です。高血糖により好中球の遊走能と貪食能が低下し、感染を起こしやすく、重症化しやすい状態になります。
これらが重なることで、わずかな熱傷が潰瘍となり、感染を伴って糖尿病性足病変から壊疽に至り、最悪の場合は下肢切断という事態を招きかねません。したがって、糖尿病患者への施灸では、術者が指を添えて温度を確認する、より温和な方法を選ぶ、施灸前後に必ず皮膚を観察する、小さな傷や変化があれば医療機関の受診を勧めるといった配慮が不可欠です。
他の選択肢を確認します。肩こりは施灸のよい適応であり、リスク要因ではありません。過敏性腸症候群は消化管の機能性疾患で、熱の感覚には影響しません。ウイルス性肝炎は、血液を介する感染対策(標準予防策、単回使用鍼、適切な廃棄)が重要ですが、熱刺激の調節そのものに注意を要する疾患ではありません。
なお、糖尿病のほかに熱刺激の調節に注意を要する対象として、脊髄損傷などによる知覚脱失、末梢神経障害、認知症、乳幼児、意識障害のある患者、局所の血流障害があります。
選択肢の確認
1.糖尿病
正しい。知覚低下、血流障害、易感染性が重なり熱傷のリスクが高くなります。
2.肩こり
誤り。施灸のよい適応であり、リスク要因ではありません。
3.過敏性腸症候群
誤り。熱の感覚には影響しません。
4.ウイルス性肝炎
誤り。血液媒介感染への対策が重要ですが、熱刺激の調節の問題ではありません。
覚えるポイント
- 糖尿病=知覚低下(神経障害)、血流障害、易感染性。熱傷から糖尿病性足病変、壊疽へ。
- 施灸時は術者が温度を確認し、施灸前後に皮膚を観察する。
- 同様に注意を要するのは知覚脱失、認知症、乳幼児、意識障害、血流障害のある部位。