19PM155|第19回 はり師・きゅう師国家試験 過去問
透熱灸による熱痛覚を伝導する求心性神経はどれか。
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正解: 4
正答
4
この問題のポイント
熱痛覚を伝える神経線維を問う問題です。筋・深部組織の求心性線維の群分類で答えます。
解説
筋や深部組織からの求心性線維は、太さと髄鞘の有無によりⅠ群からⅣ群に分類されます。皮膚神経のA線維分類と対応させると次のようになります。
Ⅰ群は最も太い有髄線維で、Aアルファに相当します。Ⅰa群は筋紡錘からの伸張の情報を、Ⅰb群はゴルジ腱器官からの張力の情報を伝えます。いずれも**固有感覚(意識にのぼらない深部感覚)**であり、痛覚ではありません。
Ⅱ群はAベータに相当し、触圧覚と筋紡錘の二次終末からの情報を伝えます。
Ⅲ群は細い有髄線維で、Aデルタに相当し、速い痛み(一次痛、鋭くはっきりした痛み)と冷覚を伝えます。
Ⅳ群は無髄線維で、C線維に相当し、遅い痛み(二次痛、鈍く重い痛み)、温覚、熱痛、かゆみを伝えます。
透熱灸は、皮膚に強い熱刺激を与える方法です。この熱刺激を受容するのは、皮膚の自由神経終末、とくにポリモーダル受容器です。ポリモーダル受容器は、機械刺激、熱刺激、化学刺激のいずれにも反応する多様式の侵害受容器であり、その情報を主に伝えるのがⅣ群線維(C線維)です。したがって、透熱灸による熱痛覚を伝導する求心性神経はⅣ群線維であり、正答は4です。
この理解は、灸の作用機序にもつながります。ポリモーダル受容器が興奮すると、軸索反射によりCGRPやサブスタンスPが遊離されて局所の血流が増加(フレア現象)し、また中枢では内因性オピオイドの遊離と下行性痛覚抑制系の賦活が起こり、鎮痛がもたらされます。
一方、透熱灸では太いⅡ群(Aベータ)線維を選択的に興奮させることができないため、ゲートコントロール説に基づく鎮痛は起こりにくいという点もあわせて押さえておきます。
選択肢の確認
1.Ⅰa群線維
誤り。筋紡錘からの伸張の情報を伝えます。
2.Ⅰb群線維
誤り。ゴルジ腱器官からの張力の情報を伝えます。
3.Ⅱ群線維
誤り。触圧覚を伝える太い有髄線維です。
4.Ⅳ群線維
正しい。無髄のC線維に相当し、熱痛覚を伝えます。
覚えるポイント
- Ⅰ群=固有感覚(Ⅰaは筋紡錘、Ⅰbは腱器官)、Ⅱ群=触圧覚、Ⅲ群=速い痛みと冷覚、Ⅳ群=遅い痛み、温覚、熱痛。
- ポリモーダル受容器=機械・熱・化学に反応、主にⅣ群(C線維)。
- 灸の機序=軸索反射による血流増加と内因性オピオイド、下行性痛覚抑制系による鎮痛。