19PM156|第19回 はり師・きゅう師国家試験 過去問
透熱灸刺激の脊髄内伝達に関与する物質はどれか。
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正解: 2
正答
2
この問題のポイント
脊髄後角での興奮性伝達物質を問う問題です。痛みを伝える側か、抑える側かで分けます。
解説
透熱灸による熱刺激は、皮膚のポリモーダル受容器を興奮させ、**Ⅲ群線維とⅣ群線維(AデルタとC線維)**によって脊髄後角に伝えられます。
この一次求心性線維の終末では、神経ペプチドとアミノ酸が伝達物質として放出され、二次ニューロンを興奮させます。代表的なのがサブスタンスPとグルタミン酸です。
サブスタンスPは、一次求心性線維(とくにC線維)の終末から脊髄後角に放出される興奮性の神経ペプチドで、二次ニューロンのNK1受容体に作用して痛覚の伝達を担います。したがって、透熱灸刺激の脊髄内伝達に関与する物質はサブスタンスPであり、正答は2です。
なお、サブスタンスPは末梢側でも重要な働きをします。軸索反射により末梢の神経終末から放出されると、血管拡張と血管透過性の亢進をもたらし、また肥満細胞からヒスタミンの遊離を促して、局所の血流増加とフレア反応、膨疹を生じさせます。中枢での痛覚伝達と、末梢での血管反応の両方に関わるという点を押さえておきます。
他の選択肢を確認します。
エンドルフィンは、内因性オピオイドペプチドの一つで、下垂体や視床下部などで産生され、痛覚の伝達を抑制します。伝達する側ではなく、抑える側の物質です。鍼灸の鎮痛機序として重要です。
ノルアドレナリンは、青斑核から出る下行性痛覚抑制系の伝達物質として脊髄後角に放出され、痛覚の伝達を抑制します。また末梢では交感神経節後線維の伝達物質でもあります。こちらも抑える側です。
アセチルコリンは、神経筋接合部、自律神経節、副交感神経節後線維の伝達物質です。脊髄後角での痛覚伝達を担う主要な物質ではありません。
このように、脊髄後角では、興奮性(サブスタンスP、グルタミン酸)と抑制性(内因性オピオイド、セロトニン、ノルアドレナリン、GABA)の物質がせめぎ合っていると理解すると整理しやすくなります。
選択肢の確認
1.エンドルフィン
誤り。内因性オピオイドであり痛覚を抑制します。
2.サブスタンスP
正しい。一次求心性線維の終末から放出される興奮性の伝達物質です。
3.ノルアドレナリン
誤り。下行性痛覚抑制系の伝達物質で痛覚を抑制します。
4.アセチルコリン
誤り。神経筋接合部や自律神経で働く伝達物質です。
覚えるポイント
- サブスタンスP=一次求心性線維の終末から脊髄後角へ放出される興奮性の伝達物質。
- サブスタンスPは末梢では軸索反射により血管拡張と透過性亢進をもたらす。
- 抑制側=内因性オピオイド(エンドルフィン、エンケファリン)、セロトニン、ノルアドレナリン。