19PM158|第19回 はり師・きゅう師国家試験 過去問
灸施術による局所炎症反応に関与するのはどれか。
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正解: 1
正答
1
この問題のポイント
灸による局所炎症反応に関わる物質を問う問題です。炎症のメディエーターはどれかを選びます。
解説
灸施術、とくに透熱灸では、施灸部の組織が熱により変性・破壊され、急性炎症反応が生じます。この過程で、さまざまな**化学伝達物質(ケミカルメディエーター)**が放出され、血管拡張、血管透過性の亢進、白血球の遊走、疼痛という炎症の現象を引き起こします。
炎症に関わる主なメディエーターは次のとおりです。ヒスタミン(肥満細胞と好塩基球)、セロトニン(血小板)、ブラジキニン(血漿のキニン系)、プロスタグランジンとロイコトリエン(アラキドン酸代謝産物)、サイトカイン(インターロイキン、TNF)、補体、そして**CGRPとサブスタンスP(神経ペプチド)**です。
プロスタグランジンは、組織が損傷されると細胞膜のリン脂質からホスホリパーゼA2によってアラキドン酸が遊離し、シクロオキシゲナーゼ(COX)経路を経て産生されます。作用は、血管拡張と血管透過性の亢進、そして**侵害受容器を感作して、ブラジキニンなどの発痛物質に対する反応性を高める(痛みの増強)**ことです。したがって、灸施術による局所炎症反応に関与するのはプロスタグランジンであり、正答は1です。非ステロイド性抗炎症薬がCOXを阻害してプロスタグランジンの産生を抑えることで鎮痛と抗炎症作用を示すのは、この裏返しです。
他の選択肢を確認します。
サイロキシンは、甲状腺ホルモンです。全身の細胞の代謝を高め、基礎代謝を亢進させます。局所の炎症反応のメディエーターではありません。
トリプシンは、膵液に含まれる蛋白分解酵素です。膵臓からトリプシノーゲンとして分泌され、十二指腸でエンテロキナーゼにより活性化されて蛋白質を分解します。消化に関わる酵素であり、炎症のメディエーターではありません。
ダイノルフィンは、内因性オピオイドペプチドの一つで、エンケファリンやベータエンドルフィンとともに痛覚の伝達を抑制します。炎症を起こす側ではなく、痛みを抑える側の物質です。
選択肢の確認
1.プロスタグランジン
正しい。アラキドン酸代謝産物で、血管拡張と痛みの増強に関与します。
2.サイロキシン
誤り。甲状腺ホルモンであり基礎代謝を高めます。
3.トリプシン
誤り。膵液に含まれる蛋白分解酵素です。
4.ダイノルフィン
誤り。内因性オピオイドで痛覚を抑制します。
覚えるポイント
- 炎症のメディエーター=ヒスタミン、セロトニン、ブラジキニン、プロスタグランジン、ロイコトリエン、サイトカイン、CGRPとサブスタンスP。
- プロスタグランジン=COX経路、血管拡張と透過性亢進、侵害受容器の感作。
- ダイノルフィンは内因性オピオイドで鎮痛側。炎症の五徴=発赤、熱感、腫脹、疼痛、機能障害。