19PM159|第19回 はり師・きゅう師国家試験 過去問
灸施術の防御作用に関係するのはどれか。
解答・解説を見る
正解: 1
正答
1
この問題のポイント
**灸の防衛作用(防御作用)**の実体を問う問題です。生体防御を担う細胞系はどれかを答えます。
解説
**灸の防衛作用(防御作用)**は、灸刺激により生体の防御機能が高まるという作用です。具体的には、白血球(とくに好中球)の増加、食作用(貪食能)の亢進、免疫能の向上が知られています。
この働きを担うのが**細網内皮系(現在は単核食細胞系ともいう)**です。細網内皮系は、組織に定着したマクロファージや、血中の単球、肝臓のクッパー細胞、脾臓や骨髄、リンパ節の細網細胞など、貪食能をもつ細胞のネットワークを指します。異物や細菌、老廃した細胞を貪食して除去し、抗原提示を通じて免疫応答を開始させる、生体防御の中心的な仕組みです。したがって正答は1です。
灸による組織の損傷が起きると、その修復の過程で白血球が集まり、貪食が行われ、局所と全身の防御機能が高まると説明されます。これが灸の防衛作用の機序です。
他の選択肢を確認します。
脳幹網様体賦活系は、脳幹の網様体から視床を経て大脳皮質全体に投射する系で、意識と覚醒の維持を担います。この系が障害されると意識障害を生じます。生体防御とは無関係です。
大脳辺縁系は、扁桃体、海馬、帯状回などからなり、情動と記憶、本能行動に関わります。ストレス反応の入り口としては関係しますが、灸の防衛作用そのものを担う系ではありません。
下行性抑制系(下行性痛覚抑制系)は、中脳中心灰白質から延髄の大縫線核と橋の青斑核を経て脊髄後角に至り、痛覚の伝達を抑える系です。これは灸の鎮痛作用の機序であり、防衛作用ではありません。
灸の治療的作用を整理すると、調整作用(興奮作用と鎮静作用)、誘導作用(患部誘導法と健部誘導法)、反射作用、防衛作用、転調作用、消炎作用、矯正作用となります。それぞれの作用がどのような機序に基づくかをセットで覚えておくと、この形式の問題に対応できます。
選択肢の確認
1.細網内皮系
正しい。貪食能をもつ細胞のネットワークで、生体防御の中心を担います。
2.脳幹網様体賦活系
誤り。意識と覚醒の維持を担う系です。
3.大脳辺縁系
誤り。情動と記憶に関わる系です。
4.下行性抑制系
誤り。痛覚の伝達を抑える系で、鎮痛作用の機序です。
覚えるポイント
- 灸の防衛作用=白血球の増加、食作用の亢進、免疫能の向上。担うのは細網内皮系(単核食細胞系)。
- 灸の治療的作用=調整、誘導、反射、防衛、転調、消炎、矯正。
- 下行性痛覚抑制系は鎮痛の機序であり、防衛作用とは区別する。