20AM80|第20回 はり師・きゅう師国家試験 過去問
次の文で示す症例について、問いに答えよ。「78歳の女性。大腿骨頸部骨折の術後3日間ベッド上安静であったが、突然胸痛、呼吸困難が出現した。胸部単純エックス線写真ではうっ血所見はなく、肺野の透過性増大がみられた。血清クレアチンキナーゼ値は正常。D-ダイマー値上昇が認められた。」本疾患の危険因子として最も重要なのはどれか。
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正解: 1
正答
1
この問題のポイント
静脈血栓塞栓症の危険因子を問う問題です。
血栓ができやすくなる条件を考えます。
解説
血栓の形成には、血流の停滞、血管内皮の傷害、血液凝固能の亢進という三つの要素が関わります。
脱水は、血液が濃縮されて粘稠度が高まり、凝固能が亢進する方向に働きます。高齢者は口渇を感じにくく、また術後は飲水が制限されることもあって脱水に陥りやすく、静脈血栓塞栓症の重要な危険因子となります。したがってこれが正答です。予防としては、十分な水分補給、早期離床、弾性ストッキング、間欠的空気圧迫法、必要に応じた抗凝固療法が行われます。
貧血は、赤血球やヘモグロビンが減少した状態であり、血液の粘稠度はむしろ下がります。血栓形成の危険因子とはされません。
運動は、下腿の筋ポンプ作用によって静脈還流を促し、血流の停滞を防ぐため、血栓の予防に働きます。危険因子ではありません。術後の早期離床が推奨されるのはこのためです。
徐脈は心拍数が少ない状態ですが、静脈血栓塞栓症の主要な危険因子としては挙げられません。
このほかの危険因子として、長期臥床、手術、外傷、悪性腫瘍、肥満、妊娠、経口避妊薬、長時間の座位があります。
選択肢の確認
1.脱水
正しい。血液の濃縮と凝固能の亢進により、血栓ができやすくなります。
2.貧血
誤り。血液の粘稠度はむしろ低下します。
3.運動
誤り。筋ポンプ作用により静脈還流を促し、予防に働きます。
4.徐脈
誤り。主要な危険因子としては挙げられません。
覚えるポイント
- 血栓形成の三要素=血流の停滞、血管内皮の傷害、凝固能の亢進。
- 危険因子=長期臥床、手術、外傷、脱水、悪性腫瘍、肥満、妊娠、長時間の座位。
- 予防=早期離床、水分補給、弾性ストッキング、間欠的空気圧迫、抗凝固療法。
- 術後や長距離移動後の突然の呼吸困難は肺血栓塞栓症を疑う。