20PM120|第20回 はり師・きゅう師国家試験 過去問
次の文で示す患者の病証に対する治療方針として最も適切なのはどれか。「35歳の男性。夏バテしたためか、ここ数日食欲がない。空腹感や口渇感はあるが、実際に食べようとする時に食が進まない。腹痛や悪心はないが唇が乾燥している。舌質は紅、舌苔は少、脈は細数。」
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正解: 1
正答
1
この問題のポイント
胃陰虚の病証を読み取り、治療方針を選ぶ問題です。
35歳男性、食欲不振、空腹感はあるが食が進まない、唇の乾燥、舌質紅で少苔、脈細数、という所見を統合します。
解説
**空腹感や口渇感はあるのに実際には食べられない(饑不欲食)**という訴えは、胃陰虚を示す特徴的な所見です。胃の陰液が不足して胃を潤せず、虚熱が生じているために、食欲の感覚と実際の摂取が食い違います。
唇の乾燥も津液の不足を示します。脾は口に開竅し、その華は唇にあらわれるためです。舌質が紅く舌苔が少ないこと、脈が細数であることも、いずれも陰虚の典型的な所見です。夏の暑さによって津液が消耗したことが背景にあると考えられます。
したがって治療方針は**胃陰を補う(養陰益胃)**ことになり、これが正答です。中脘、胃兪、足三里、三陰交、太渓などを用います。
腎陰を補うのは腎陰虚に対する方針で、腰膝のだるさ、耳鳴り、めまい、盗汗が中心となる場合です。この症例の中心は胃の症状です。
痰濁を除くのは痰湿が主体の病証に対する方針で、膩苔と滑脈、多量の痰を伴う場合です。少苔という所見と相反します。
気滞を除くのは気滞に対する方針で、脹痛と情志による悪化が中心の場合です。
選択肢の確認
1.胃陰を補う。
正しい。饑不欲食、唇の乾燥、舌質紅少苔、脈細数から胃陰虚と判断されます。
2.腎陰を補う。
誤り。腰膝のだるさや耳鳴りが中心の場合の方針です。
3.痰濁を除く。
誤り。膩苔と滑脈を伴う病証に対する方針です。
4.気滞を除く。
誤り。脹痛と情志による悪化が中心の場合の方針です。
覚えるポイント
- 胃陰虚=空腹感はあるが食べられない、口や唇の乾燥、胃脘の灼熱感、舌質紅少苔、脈細数。
- 胃気虚=食欲不振、食後の膨満、倦怠感、舌淡。
- 脾は口に開竅し、その華は唇にあらわれる。
- 治療=養陰益胃(中脘、胃兪、足三里、三陰交、太渓)。