20PM127|第20回 はり師・きゅう師国家試験 過去問
次の文で示す患者に対する局所治療穴で最も適切なのはどれか。「28歳の男性。半年程前から右薬指のしびれが徐々に強くなってきた。母指と示指で紙を挟もうとすると母指の指節間関節が曲がる。小学5年生の時に右肘骨折の既往がある。」
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正解: 3
正答
3
この問題のポイント
遅発性尺骨神経麻痺を推定し、罹患神経に対する治療穴を選ぶ問題です。
28歳男性、右薬指のしびれ、母指と示指で紙を挟むと母指の指節間関節が曲がる、小児期の右肘骨折の既往、という所見に注目します。
解説
薬指(環指)のしびれは尺骨神経の支配領域を示します。また、紙をつまむときに母指の指節間関節が屈曲してしまう現象はフローマン徴候であり、母指内転筋(尺骨神経支配)の筋力低下を示します。
小児期の肘骨折の後に、長い年月を経て肘部で尺骨神経が牽引・圧迫され、麻痺が現れることを遅発性尺骨神経麻痺といいます。肘の外反変形(外反肘)を背景とすることが多く、この症例の経過はこれに合致します。
治療穴としては、尺骨神経の走行に近い経穴を選びます。通里は手の少陰心経の絡穴で、前腕前内側、尺側手根屈筋腱の橈側縁、手関節掌側横紋の上方1寸に取ります。尺側手根屈筋は尺骨神経の支配であり、その深部を尺骨神経が走行するため、罹患神経に働きかける経穴として適切です。したがってこれが正答です。
手三里は大腸経の経穴で前腕後外側にあり、橈骨神経に関係します。大陵は心包経の原穴で手関節前面の正中にあり、正中神経に関係します。孔最は肺経の郄穴で前腕前外側にあります。いずれも尺骨神経の走行ではありません。
選択肢の確認
1.手三里
誤り。前腕後外側にあり、橈骨神経に関係します。
2.大陵
誤り。手関節前面の正中にあり、正中神経に関係します。
3.通里
正しい。尺側手根屈筋腱の橈側縁にあり、尺骨神経の走行に近い部位です。
4.孔最
誤り。前腕前外側にあります。
覚えるポイント
- 尺骨神経麻痺=小指と環指尺側のしびれ、骨間筋と小指球の萎縮、鷲手、フローマン徴候。
- 遅発性尺骨神経麻痺=小児期の肘骨折後、外反肘を背景に年月を経て発症。
- 尺骨神経に近い経穴=小海(肘部管)、通里・神門(前腕遠位の尺側)。
- 正中神経=大陵、内関。橈骨神経=手三里、曲池。