20PM131|第20回 はり師・きゅう師国家試験 過去問
次の文で示す患者に対する治療方針で最も適切なのはどれか。「21歳の女性。2か月前から就職活動がうまくいかず、腹部膨満感がある。食後すぐに便意を催し、1日に5回以上の水様性の下痢が続く。病院での検査所見では異常はみられなかった。」
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正解: 1
正答
1
この問題のポイント
**過敏性腸症候群(下痢型)**の病態と、治療の狙いを問う問題です。
21歳女性、就職活動のストレス、腹部膨満感、食後すぐの便意、1日5回以上の水様性下痢、検査所見に異常なし、という所見を統合します。
解説
器質的な異常がないのに、ストレスに関連して腹痛や腹部膨満感と下痢が続く状態は、**過敏性腸症候群(下痢型)**として理解されます。
下痢型では、腸管の運動が過剰に亢進して内容物が速く移動し、水分の吸収が不十分なまま排出されます。この腸管運動の亢進を担うのが、副交感神経である迷走神経(下部消化管では骨盤内臓神経も)です。食後すぐに便意を催すのも、胃結腸反射が過剰に働くためです。
したがって、治療の狙いは迷走神経(副交感神経)の機能を抑制して腸管運動の亢進を抑えることになり、これが正答です。
大内臓神経は交感神経であり、腸管運動を抑制する方向に働きます。これを抑制すれば、かえって腸管運動が亢進して下痢が悪化します。
内臓知覚神経の機能亢進は、過敏性腸症候群でみられる内臓知覚過敏そのものであり、これを亢進させることは症状の悪化につながります。治療では、むしろ知覚の過敏さを抑える方向を目指します。
腸骨下腹神経は腹壁の知覚と筋を支配する体性神経であり、腸管運動の調節には関与しません。
選択肢の確認
1.迷走神経の機能抑制
正しい。亢進した腸管運動を抑えることが治療の狙いとなります。
2.大内臓神経の機能抑制
誤り。交感神経の抑制はかえって腸管運動を亢進させます。
3.内臓知覚神経の機能亢進
誤り。知覚過敏は症状の一因であり、亢進させるべきではありません。
4.腸骨下腹神経の機能亢進
誤り。腹壁を支配する体性神経であり、腸管運動には関与しません。
覚えるポイント
- 過敏性腸症候群=器質的異常なし、ストレスに関連、腹痛と便通異常。
- 下痢型=腸管運動の亢進(副交感神経優位)と内臓知覚過敏。
- 交感神経は腸管運動を抑制、副交感神経は促進する。
- 血便、体重減少、発熱、夜間症状は器質的疾患を疑う警告徴候。