21PM121|第21回 はり師・きゅう師国家試験 過去問
次の文で示す患者の病証に対する治療方針として最も適切なのはどれか。「63歳の男性。主訴は不眠。就寝しても手足がほてり、胸部の熱が煩わしくて落ち着かず、すぐに目が覚めてしまう。寝汗も多い。舌尖は紅、脈は細数。」
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正解: 3
正答
3
この問題のポイント
心の熱による不眠を読み取り、治療方針を選ぶ問題です。
63歳男性、不眠、手足のほてり、胸部の熱で落ち着かない、寝汗(盗汗)、舌尖は紅、脈は細数という所見を統合します。
解説
舌尖(舌の先)が紅いことは、心に熱があることを示す典型的な所見です。舌診では、舌尖が心と肺、舌辺が肝と胆、舌中が脾と胃、舌根が腎に対応するとされるためです。
胸部の熱が煩わしくて落ち着かないという訴えは心煩にあたり、心の熱が神を乱していることを示します。心は神を蔵するため、心が熱に擾されると眠りが浅くなり、すぐに目が覚めます。
手足のほてり(五心煩熱)、寝汗(盗汗)、脈が細数であることは、陰液の不足を背景とした熱、すなわち虚熱の存在を示します。
以上をまとめると、心に熱がこもって神を乱している病証であり、治療方針は**心火を降ろす(清心瀉火)**ことになります。したがってこれが正答です。神門、少府、内関、心兪などを用い、あわせて陰を養う太渓や三陰交を配することもあります。
肝血を補うのは、目のかすみ、爪のもろさ、筋のひきつり、月経量の減少が中心の肝血虚に対する方針です。
腎陽を補うのは、冷え、腰膝のだるさ、夜間頻尿が中心の腎陽虚に対する方針であり、この症例のほてりと熱感とは逆の病態です。
胃熱を除くのは、口臭、歯肉の腫れ、多食で空腹になりやすいといった症状が中心の場合の方針です。
選択肢の確認
1.肝血を補う。
誤り。目のかすみや筋のひきつりが中心の場合の方針です。
2.腎陽を補う。
誤り。冷えが中心の腎陽虚への方針であり、この症例と逆です。
3.心火を降ろす。
正しい。舌尖紅、心煩、不眠から心の熱と判断されます。
4.胃熱を除く。
誤り。口臭や歯肉の腫れが中心の場合の方針です。
覚えるポイント
- 舌尖が紅い=心の熱。舌診の対応=舌尖(心肺)、舌辺(肝胆)、舌中(脾胃)、舌根(腎)。
- 心は神を蔵する。心の熱や心血の不足で不眠、動悸、健忘が生じる。
- 五心煩熱、盗汗、脈細数=陰虚を示す。
- 治療=神門、内関、心兪、少府。陰を養うには太渓、三陰交。