21PM122|第21回 はり師・きゅう師国家試験 過去問
次の文で示す患者の病証に対する治療方針として最も適切なのはどれか。「40歳の男性。下腹部の痛みを伴う癃閉がある。口渇はあるが、あまり水を飲む気はしない。舌質は紅、舌苔は黄膩、脈は滑数。」
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正解: 1
正答
1
この問題のポイント
膀胱湿熱の病証を読み取り、治療方針を選ぶ問題です。
40歳男性、下腹部の痛みを伴う癃閉(尿が出にくい)、口渇はあるが水を飲みたがらない、舌質は紅、舌苔は黄膩、脈は滑数という所見を統合します。
解説
癃閉は排尿が困難で尿量が少ない状態を指します。下腹部の痛みを伴うことから、膀胱に邪が停滞していると考えられます。
決め手となるのが舌と脈の所見です。舌質が紅く舌苔が黄色いことは熱を、苔が膩(べったりしている)ことは湿を示します。あわせて脈が滑数であることも、湿(滑)と熱(数)の両方を示します。
さらに、口渇はあるが水をあまり飲みたがらないという訴えは、湿が体内に停滞しているために新たに水分を受け入れられない状態を反映しており、湿熱を示す特徴的な所見です。単なる熱証であれば冷たい水を多く欲しがります。
以上をまとめると膀胱湿熱の病証であり、治療方針は**湿熱の除去(清熱利湿)**となります。したがってこれが正答です。中極、膀胱兪、陰陵泉、三陰交、委陽などを用います。
気滞の除去は、脹痛と情志による変動が中心の場合の方針です。この症例の黄膩苔と滑数脈は湿熱を示しており、気滞が中心ではありません。
腎精の回復は、慢性の排尿力低下、腰膝のだるさ、耳鳴りを伴う腎虚の場合の方針です。
固摂機能の回復は、遺尿や尿失禁など、尿をとどめられない場合の方針であり、尿が出にくいこの症例とは逆です。
選択肢の確認
1.湿熱の除去
正しい。黄膩苔と滑数脈、口渇があるが飲みたがらない所見から膀胱湿熱と判断されます。
2.気滞の除去
誤り。脹痛と情志による変動が中心の場合の方針です。
3.腎精の回復
誤り。慢性の排尿力低下と腰膝のだるさが中心の場合の方針です。
4.固摂機能の回復
誤り。尿失禁や遺尿の場合の方針であり、この症例と逆です。
覚えるポイント
- 膀胱湿熱=排尿痛、頻尿、尿の混濁、癃閉、黄膩苔、滑数脈。
- 口渇はあるが飲みたがらない=湿の停滞を示す特徴的な所見。
- 治療=清熱利湿。中極、膀胱兪、陰陵泉、三陰交、委陽。
- 発熱を伴う場合や血尿がある場合は、感染症や結石を疑い医療機関の受診を勧める。