23AM76|第23回 はり師・きゅう師国家試験 過去問
次の文で示す症例について、問いに答えよ。「20歳の女性。呼吸困難、全身倦怠感の精査のため受診。胸部レントゲン写真で心拡大と肺うっ血を認めた。心エコー検査では左室内腔は著明に拡大し、心室中隔と左室後壁は薄くなっていた。」本疾患に最も有用な血液検査項目はどれか。
解答・解説を見る
正解: 1
正答
1
この問題のポイント
心不全の血液検査を問う問題です。
解説
**ヒト脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)**は、心室の心筋細胞が伸展されたときに分泌されるホルモンです。血管を拡張させ、ナトリウムと水の排泄を促して、心臓の負担を軽減する方向に働きます。
心不全では心室への負荷が高まるため、BNP(およびその前駆体の断片であるNT-proBNP)が血中で上昇します。心不全の診断、重症度の評価、治療効果の判定、予後の予測に広く用いられる、最も有用な血液検査項目です。したがってこれが正答です。呼吸困難の原因が心不全によるものか、呼吸器の疾患によるものかを区別する際にも有用です。
なお、**心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)**は心房から分泌される類似のホルモンです。
**アルカリフォスファターゼ(ALP)**は、肝胆道系と骨の疾患で上昇する酵素です。閉塞性黄疸、骨転移、骨のパジェット病、成長期の小児で高値となります。心不全の指標ではありません。
**ロイシンアミノペプチダーゼ(LAP)**も、肝胆道系の疾患で上昇する酵素で、ALPやγ-GTPとともに胆汁うっ滞の評価に用いられます。
リパーゼは、膵臓から分泌される脂肪分解酵素で、急性膵炎で著明に上昇します。アミラーゼより膵臓に特異的です。心不全とは関係しません。
選択肢の確認
1.ヒト脳性ナトリウム利尿ペプチド
正しい。心室の伸展により分泌され、心不全の評価に最も有用です。
2.アルカリフォスファターゼ
誤り。肝胆道系と骨の疾患で上昇します。
3.ロイシンアミノペプチダーゼ
誤り。肝胆道系の疾患で上昇します。
4.リパーゼ
誤り。急性膵炎で著明に上昇します。
覚えるポイント
- BNP(脳性ナトリウム利尿ペプチド)=心室から分泌。心不全の診断と重症度、予後の評価に有用。
- ANP=心房から分泌。いずれもナトリウムと水の排泄を促す。
- ALP、γ-GTP、LAP=胆汁うっ滞。AST、ALT=肝細胞の障害。
- アミラーゼ、リパーゼ=急性膵炎。トロポニン、CK-MB=心筋梗塞。