23AM80|第23回 はり師・きゅう師国家試験 過去問
次の文で示す症例について、問いに答えよ。「70歳の男性。嚥下障害と体重減少で来院し、食道癌と診断された。さらに右眼瞼下垂と縮瞳が認められた。」本症例にみられる合併症はどれか。
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正解: 4
正答
4
この問題のポイント
眼瞼下垂と縮瞳の組合せから合併症を推定する問題です。
解説
ホルネル症候群は、交感神経の経路が障害されることで生じる症候群で、次の所見を特徴とします。
眼瞼下垂(ミュラー筋の緊張低下による軽度のもの)、縮瞳(瞳孔散大筋の麻痺による)、眼裂狭小、患側顔面の発汗低下、そして眼球陥凹です。
この症例では右眼瞼下垂と縮瞳が認められており、これはホルネル症候群の所見に合致します。したがってこれが正答です。
食道癌が上縦隔へ浸潤すると、頸部から胸部を走行する**交感神経幹(星状神経節を含む)**が障害され、ホルネル症候群を生じます。上肺溝腫瘍(パンコースト腫瘍)でも同様の機序でみられます。
上大静脈症候群は、腫瘍が上大静脈を圧迫して還流が妨げられる病態で、顔面と上肢の浮腫、頸静脈と胸壁の静脈の怒張、顔面の紅潮、呼吸困難をきたします。眼瞼下垂と縮瞳では説明できません。
反回神経麻痺は、腫瘍が反回神経を巻き込むことで生じ、嗄声をきたします。食道癌の合併症として頻度が高いものですが、この症例の眼瞼下垂と縮瞳の説明にはなりません(なお、嗄声があれば反回神経麻痺を考えます)。
顔面神経麻痺は、表情筋の麻痺により閉眼できない(兎眼)、口角が下がるといった症状をきたします。眼瞼下垂ではなく、むしろ目を閉じられなくなる状態であり、この症例とは異なります。
選択肢の確認
1.上大静脈症候群
誤り。顔面と上肢の浮腫、静脈怒張をきたします。
2.反回神経麻痺
誤り。嗄声をきたします。
3.顔面神経麻痺
誤り。閉眼できない兎眼が生じます。
4.ホルネル症候群
正しい。眼瞼下垂と縮瞳は交感神経障害の所見です。
覚えるポイント
- ホルネル症候群=眼瞼下垂、縮瞳、眼裂狭小、患側顔面の発汗低下。交感神経の障害。
- 原因=肺尖部の腫瘍(パンコースト腫瘍)、縦隔腫瘍、頸部の外傷や手術、延髄外側症候群。
- 反回神経麻痺=嗄声。上大静脈症候群=顔面と上肢の浮腫、静脈怒張。
- 眼瞼下垂の原因=動眼神経麻痺、重症筋無力症、ホルネル症候群。